2017 Fiscal Year Annual Research Report
Nuclear Plant Accident and Affected Social Groups: A Sociological Study of How the Evacuated Family, Neighborhood and Business Respond to the Fukushima Nuclear Disaster
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15K17185
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 耕平 首都大学東京, 人文科学研究科, 客員研究員 (90706748)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 災害研究 / 原発事故 / 原発避難 |
Outline of Annual Research Achievements |
職業集団の調査では、前年度の延長上で、災害過程から再生過程への局面変容の分析を進め、(1)組織発生前の経営陣・従業員の生活史、(2)発災直前期の組織形成過程、(3)災害初期の応急避難局面における組織解体過程、(4)発災後約一年間の再生準備期における組織再形成過程、(5)以後数年間の再生開始期における組織再解体過程を、段階を追って把握することに努めた。これらの過程を通じ、中堅法人およびその事業所は幾度となく経営環境の変化を経験し、経営陣、管理職、一般従業員も、職業環境の変化を経験した。その中で、従来と同様の職業意識を保つことは難しく、組織の再形成が再度の解体を後押しする面が浮かび上がった。これに対し、家族集団では、発災後約一年間の時期は環境の変化が大きく、これに伴って同居関係や姻縁関係は頻繁に変化したが、以後数年間は、居住環境の変化のほかに、出生、就学、就業、婚姻、退職、死別などのライフサイクルの進展による変化が積み重なり、これによっても同居関係や姻縁関係が変化し、集団変容は続く。これらを通じ、家族の心象は変わり、親子・きょうだい・配偶者の間の関わり方も変わるが、それが集団解体をもたらすようなものでない。これらに比して、近隣集団では、発災後約一年の間、避難によって分散した成員間のネットワーク形成が進み、以後数年間は、成員が当該の(発災前の)近隣地域に住み戻ることが難しい地域ほど、年に一度の集まりへの参加など、関わり合い方や付き合い方の定常化が進んだことが見て取れる。
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