2016 Fiscal Year Research-status Report
生殖補助医療後の出生前診断の経験についてのインタビュー調査
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15K17190
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
山本 佳世乃 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90559155)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | NIPT / 妊婦の経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
57名に対してインタビュー参加の募集行い、家族歴・胎児異常のないNIPT陰性例の妊婦10名にインタビューを実施した。インタビュー解析方法について検討を行い、その一部を第13回質的心理学会にて発表した。インタビューの解析方法を改良し、語りに現れる他者や社会への言及部を抽出、各語り手の共通点・相違点について分析した。語りに共通して現れる他者は、夫、妻もしくは夫の母親、産婦人科スタッフであった。特に、妻もしくは夫の母親についての語りは多様であり、NIPT受検の要因として語られる場合もあれば、受検したことを伝えるか否かという文脈で語られる場合もあった。出生後の子どもへの言及と現時点で体感できる胎児についての語りも共通して見られた。語り手によって異なる他者・社会の語りには、語り手の置かれている状況の個別性が表れていた。具体的には、共通他者以外の他者が語りに現れない一方でブログからの情報が多く語られる例、夫の親類に対する語りが多くを占める例、きょうだい児への言及、職場の上司同僚について語られる例などがあった。語りに現れる他者・社会の視点から解析を行うことで、参加者を取り巻く社会的な状況、キーパーソンを把握できるとともに、検査の情報源やNIPTの社会的側面について明らかにできる可能性が示唆された。The ACMG(American college of medical genetics and genomics) annual meeting に参加し、アメリカにおけるNIPTの検査項目は拡大の一途である現状について、現地の遺伝カウンセラーから情報収集した。また、生殖医療分野のBiomedical Ethics の研究者と情報交換を行い、臨床遺伝分野において質的研究を浸透させるために行われている方略について情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定よりも生殖補助医療を受けた妊婦が少なく、また研究協力者も自然妊娠の妊婦がほとんどであった。そのため、自然妊娠群については、計画当初の人数(3-5名)を超えたインタビューを実施できているが、生殖補助医療群でのデータが2名分不足している
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠中にインタビューを実施した10名に対して出産後のインタビューを行う。同時に、生殖補助医療を受けた妊婦に限定して、初回インタビュー募集を継続することとした。インタビュー解析と関連学会での発表を継続する。論文化に向けて研究会での研究報告を行う。
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Causes of Carryover |
インタビュー実施費用として交通費と宿泊費を計上していたが、当初見込みよりも交通費がかからず宿泊も必要のないケースが多かった。また、トランスクリプト作成等のための人件費と謝金を計上していたが、現在のところ研究者によりトランスクリプト作成が可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、トランスクリプト作成等のための人件費を使用する予定である。また、解析用パソコンの増設を行う。学会発表と論文作成等により累積分の予算を執行する予定である。
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