2017 Fiscal Year Research-status Report
生殖補助医療後の出生前診断の経験についてのインタビュー調査
Project/Area Number |
15K17190
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
山本 佳世乃 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90559155)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | NIPT / 妊婦の経験 / 他者との関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
64名についてインタビュー参加の募集を行った。家族歴・胎児異常のないNIPT陰性例の妊婦13名に対して妊娠中のインタビューを実施し、解析を行った。またこのうち5名に対して、出産後のインタビューを実施した。2017年6月に第41回日本遺伝カウンセリング学会において、妊娠中のインタビュー解析結果の一部を発表し、臨床遺伝分野の専門家ならびに他のNIPT実施施設担当者との意見交換を行った。本インタビューによりクライエントの背景状況についての理解が深まったとのコメントや地域性の違いへの考察の必要性についての意見を得た。2017年8月に第3回ライフストーリー研究会夏期研究会にて発表し、ライフストーリー研究の専門家から主に解析手法についての助言を得た。本研究の解析はライフストーリー分析指標(山本、2015)をもとに行っているが、本研究の場合、このうち語りに登場する「他者・社会」に関する発話に注目する分析【3】に該当する部分が多いことが明確化された。このことはNIPT経験がクライエントの「個人的・内面的な経験」であるよりもむしろ「他の人々や社会の中」で経験されていることを示唆するものと考えられた。2017年9月には第14回日本質的心理学会にて発表を行った。質的研究の研究者らと意見交換し、他者・社会」の中に含まれる「胎児」には現時点で胎内に存在する実体としての「胎児」ほかに、将来生まれ育つが今はまだ存在していない、仮の存在としての「仮置きの子ども」の2つの異なる意味づけがなされていることへの気づきを得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自然妊娠群については当初予定の3-5名を越えて十分な検討ができている。しかし、生殖補助医療後のクライエントならびに本研究への参加者が少ないことから、この群に対するインタビュー募集を継続した。現時点で当初予定の3-5名を満たす参加希望者を得ることができたが、インタビューの実施と解析がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
生殖補助医療後のクライエントに対する妊娠中のインタビューを実施する。また妊娠後のインタビュー未実施者に対するインタビューを継続、完了させる。今年度中に妊娠中のインタビュー解析結果については論文化することを予定している。
|
Causes of Carryover |
インタビュー実施費用として交通費と宿泊費を計上していたが、当初見込みよりも交通費が掛からず宿泊も必要のないケースが多かった。またトランスクリプト作成のための人件費を計上しているが、見込みよりも少ない費用での依頼が可能であった。 来年度は引き続き、インタビュー実施、人件費、発表にかかる費用として使用する計画である。
|