2015 Fiscal Year Research-status Report
性暴力事件の裁判に裁判員制度がもたらす影響に関する実証的研究
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15K17191
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
小宮 友根 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40714001)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 裁判員評議 / 会話分析 / エスノメソドロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の研究実績としては、模擬評議の録画データ分析、および法のエスノメソドロジー/会話分析の意義についての学会報告をおこなうことができた。 模擬評議の録画データ分析については8月に南デンマーク大学で開催された国際エスノメソドロジー/会話分析学会にて報告をおこなった。裁判員はさまざまな社会的アイデンティティをもって評議に参加する。そのアイデンティティが評議コミュニケーションのなかで裁判員が参照する常識的知識のタイプとどのように関わっているかについて予備的な分析枠組を提示した。 法のエスノメソドロジー/会話分析研究の意義については11月に東北大学で開催された科学技術社会論学会にて報告をおこなった。主としてシーラ・ジャサノフの議論とエスノメソドロジー/会話分析の議論を比較することで、法のなかに「社会的なもの」を見いだす研究にはどんな方向性と意義があるのかについて議論の整理をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の進捗として、上記のとおり学会報告を2本おこなったほか、模擬評議録画データ分析についての論文を1本、判決文分析についての論文を1本執筆し、また2016年度開催予定の模擬評議について準備をおこなうことができた。論文の出版は年度内に間に合わなかったが、一本は16年4月に出版済、もう1本も16年度中の出版が予定されており、順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続き模擬裁判のデータ収集と、昨年度おこなった学会報告の論文化をおこなう予定である。 データ収集については東洋学園大学の宮園久栄教授の強力のもとおこなっている模擬裁判の撮影を継続するほか、東海大学の北村隆憲教授と共同で、裁判官経験者に裁判員役を依頼するより実際の評議に近いセッティングでの模擬評議を実施予定である。 学会報告の論文化については、国際エスノメソドロジー/会話分析研究会での報告を発展させた論文を、Research on Language and Social Interaction誌などの関連査読誌に投稿予定である。
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Research Products
(2 results)