2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17194
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
武藤 正義 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (00553231)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 権力生成状況 / チキンゲーム / 非対角均衡 / 対称ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
具体的な権力メカニズムには制裁権力や規律権力などがあるが、昨年度においては、競争権力メカニズムを組織におけるゲームとしてモデル化した。一方、今年度においては、ウェーバーの権力概念を手掛かりに、逆に、抽象的な非対称性から出発し、(対称ゲームにおける)格差のある非対角均衡(非対称均衡)として権力現象を位置づけた。 ただし、ここでは状況を対称ゲームに限定しており、これは現にある権力の作動メカニズムというよりは、権力の生成メカニズムに対応するものと考えられる。このとき、いかにして対称な複数個人から、非対称な権力関係が生成されるのか?というある種の秩序問題の解が、権力生成メカニズムであり、本研究ではそれを権力生成状況、すなわち格差のある非対角均衡が存在する状況に求める。なお、このように権力生成を問うことは、垂直的な社会秩序はいかにして可能か、という一種の秩序問題を問うことでもある。 権力生成状況=格差のある非対角均衡が存在する状況は、きわめて広義のチキンゲームであり、多様なので分析を要する。そこで武藤(2017)ではこの状況全体からなる状況空間の構造を分析した。結果として2×2対称ゲームよりも対称ゲーム一般においてはかなり多く権力生成状況がみられるが、そこではつねに非対称状態を出力する強い権力生成状況から、非対称状態を出力することもある弱い権力生成状況まであることが示された。
武藤正義,2017,「権力生成装置としてのチキンゲームの多様性 ──対称ゲーム分類を手掛かりに 」,第63回数理社会学会大会(関西大学),3月14-15日
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、今年度と抽象度や性格が異なる権力メカニズム(権力生成メカニズム)のモデルを構築することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って推進する。
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Causes of Carryover |
次年度に旅費・設備・人件費等で支出が多くなるために繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議等による海外出張旅費、資料収集、紙媒体研究資料の電子化等により人件費などに支出する。
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