2015 Fiscal Year Research-status Report
環太平洋越境移動空間の形成と「他者」の排除・受容―在米中国系移民を事例として
Project/Area Number |
15K17201
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
大井 由紀 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10551070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 太平洋郵船 / 日本郵船 / 東洋汽船 / 中国郵船公司 / 太平洋航路 / 大西洋航路 / 海外旅行のはじまり / 世界旅行 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度の目標は、19世紀後半から20世紀にかけて、太平洋航路で蒸気船ビジネスを展開した汽船会社各社について史資料を用いて調べることであった。なかでも、アジア・アメリカ間で移民を運んだ太平洋郵船・日本郵船・東洋汽船・中国有限公司に焦点を置いた。 4月以降、二次資料を用いるとともに日本郵船歴史博物館・東京海洋大学を訪問し、日本郵船についての概要だけでなく、先行研究でこの蒸気船会社がどのように位置づけられてきたかまとめた。8月には三菱重工株式会社長崎造船所史料館・国立国会図書館・サンフランシスコで史料調査を実施した。国会図書館では日本郵船の社史や創業以来の事業記録に目を通した。史料館では造船技術や日本の近代化で蒸気船が果たした役割がわかった。サンフランシスコでは地元の新聞記事のなかから、上記汽船会社に関する記事を多数見つけることができた。3月にはニューヨークで史料調査を実施した。エリス島移民博物館やニューヨーク市立図書館において、大西洋航路で蒸気船を運行し、ヨーロッパ各地からアメリカへ移民を運んできた汽船会社にどのようなものがあったのか明らかになった。 このように先行研究の概要を把握し、史料調査を行った結果、28年度以降の研究で取り組むべき新たな2つのポイントが浮上した。第一に、蒸気船運航会社に加えて造船所についても概要を把握する必要があることである。第二に、太平洋航路と大西洋航路がアメリカでどのように接続されていたかという視点から、大陸横断鉄道とそれ以前の東西の交通・接続状況について考察することである。こうした点を踏まえ、引き続き研究を行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料調査を計画していたすべての機関で調査を行えなかった点では不十分であった。しかし、訪れた機関では重要な史料を思っていた以上に見つけることができたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で研究計画に大きな変更はない。2016年度9月より在外研究でアメリカに滞在することになるため、2015年度に史料調査を実施できなかった機関には、9月以降訪問する予定である。
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Causes of Carryover |
27年度3月にニューヨークで史料調査を実施したが、これが4月までかかる日程だったため、出張申請を提出した段階で、残高を28年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度3月ー28年度4月にかけてニューヨークで行った調査ですでに使用した。
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[Book] Japan Viewed from Interdisciplinary Perspectives: History and Prospects (共著)2015
Author(s)
OOI Yuki、Sugita Yoneyuki(Editor), Kar Gustafsson, Steven Heine, Bruce Cumings, Judith Snodgrass, John Paden, Nissim Otmazgin, Marie Soderberg, Victor Teo, Juha Saunavaara,Christopher Weiss, Emma Gracia, Gerard Torrats-Espinosa, Oga Toru, Shimahoto Mayako
Total Pages
314(3-20)
Publisher
Lexington Books