2021 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of transpacific space of human migration and exclusion of "others."
Project/Area Number |
15K17201
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
大井 由紀 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10551070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環太平洋越境移動空間 / 太平洋郵船 / アジア系移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「環太平洋における越境移動空間の形成を、文化・経済・技術・政治・軍事の観点から総合的に明らかにし、こうした空間形成が人種・エスニシティにおける「異質さ」の位置づけ、「異質な他者」とされた移民の排除・受容にどのように影響したか考察する」ことである。具体的には、蒸気船の定期運航が環太平洋で普及した 1870 年代-1920 年代に、人種を基準としたアメリカで初の移民排斥法の対象とされていた在米中国系移民に着目した。環太平洋での蒸気船の定期運航開始により米中間の越境移動の数は増え、その目的も従来の労働を求めての移住だけでなく、貿易・観光・軍事へと多様化した。本研究は、こうした越境移動空間の形成が、アメリカにおける人種・エスニシティを異にする「他者」への理解や排除・受容に及ぼした影響を考察することを目指した。 もともと2018年度に終了するはずであった本研究であるが、出産・育児休業・コロナ禍により、2021年度まで延長された。本来であれば2021年度は成果発表の年とする予定であったが、育児とのバランスやコロナにより海外調査に行って一次史料を探すことができず、予定していた論文を執筆することができなかった。そうしたなか、もとの計画では2018・19年に遂行する予定であった、環太平洋概念の変遷、優生学における人種カテゴリーや移民の識別・認証技術(19世紀)に関して、先行研究やすでに収集していた一次史料、国内での史料調査をもとに、まとめることができた。
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