2015 Fiscal Year Research-status Report
ハンセン病経験者の自律と支援に関する社会学的実証研究
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15K17208
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
本多 康生 福岡大学, 人文学部, 講師 (50586443)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハンセン病問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ハンセン病経験者の生活の全体像を把握し、その生を多面的に支えるために、ハンセン病療養所入所者・退所者・家族、ソーシャルワーカーなどに対するインタビューと、退所者の会(セルフヘルプグループ)の参与観察を、数箇所のフィールド(療養所・退所者の会・支援組織等)において実施した。次に、非入所者原告に対する生活実態調査の二次分析を行った結果、1)非入所者は療養所に入所していないため、障害認定を受ける機会が入所者・退所者ほど担保されず、また本人も病歴の露見を怖れ、障害認定を受けている割合が少ないこと、2)非入所者は、早期に適正な治療を受けて後遺症があまりない状態で治癒したケースと、適切な治療の機会を与えられず後遺症を重度化させたケースの2つに分岐していること、3)非入所者は隔離経験がないにもかかわらず、「就学」「就労」「家庭生活」「治療」などの各局面において、深刻な被害を被っていたこと、などが示された。さらに、非入所者に対する外来診療を行っていた京大病院・阪大病院・全国の国立療養所・ゆうな協会(那覇・宮古)・琉大病院などのルートを中心に、地域社会で生活する非入所者にインタビューを実施し、非入所者の生の経験についての考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハンセン病経験者が社会生活でいかなる困難に直面し、現在どのような生活を送っているのかについて、総合的な考察を進めているが、研究の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集したインタビューデータを精査し、論文化を進めていく予定である。また、継続して当事者への研究成果の還元とアウトリーチを進める予定である。
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