2018 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of the characteristics of the help-seeking of the people with a mild physical disability and the development of the help-seeking promotion program.
Project/Area Number |
15K17213
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Research Institution | Utsunomiya Kyowa University |
Principal Investigator |
白神 晃子 宇都宮共和大学, 子ども生活学部, 講師 (60548238)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 援助要請 / 当事者 / ワークショップ / グループインタビュー / 身体障害 / 軽度障害 / 先天性 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度は、A)グループインタビュー、B)当事者研究を援用した先天性四肢障害当事者向けワークショップ(以下、WS)の設計、C)WSの試行と評価を行った。 A)先天性四肢障害当事者を対象としたグループインタビューを実施した。対象者はいずれも重度上肢障害であったが、公的な介助サービスの利用経験はなく、日常生活上の困難や工夫について容易には思いつかなかった。しかし対話を繰り返すことで、生活環境への工夫やインフォーマルな援助の例が複数挙げられた。また、社会生活の範囲を限定することで困難が生じそうな事項を避ける傾向や、幼少期から援助が得やすいよう他者への気遣いを続けてきたことなどが共通して語られた。 B)先天性四肢障害当事者5名が参加し、全4回の対話および調査と、オンライン上でのやりとりを通じてWSの設計と運営の準備を行った。WSの特徴として、モノ(便利グッズ)とワザ(身体技法)の両方をバランスよく共有する、「安く」「手軽に」できる工夫に焦点化する、事前に複数の当事者に動画の撮影を依頼し映像でワザを紹介する等を取り入れた。WS設計の最終段階では、安価に購入できる道具を実際に探し、試用しながらさまざまなアイディアを交換した。 C)当事者10名とその家族9名を対象に、B)で設計したWSを試行し、実施後にアンケートを実施した。その結果、WSを「楽しめた」「ためになった」「ピアグループに今後も参加したい」と評価した者はいずれも100%であった。実施前後の変化では、物・他者・制度への援助要請指向性が全般的に高まり、自己理解・自己の障害に対する嫌悪感・自己の個性を尊重する気持ちに改善が見られた。また、WSの設計と実施に携わった当事者へのヒアリングでは、当事者活動に参加することで、仲間や居場所が得られ、次世代のピアに対する効力感を得られた等の変化が語られた。
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