2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17217
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
長谷川 武史 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (20622913)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セーフコミュニティ / 安全・安心なまちづくり / リスク予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の進捗状況として、1年目に実施できなかったセーフコミュニティ(以下、SC)の先進地域の調査(青森県十和田市、神奈川県横浜市栄区)を行った。いずれの地域においても、前年の研究結果として明らかになったSC導入による改善効果評価および効率性評価に関する課題が確認された。客観的な数値だけでは評価できないSCの取り組みについては、どのように導入効果を示していくのか、利害関係者への「見える化」が課題として存在していた。また、当初設定した地域課題への対策、対策のモニタリング、モニタリングを元にした改善策の検討という、基本的なPDCAサイクルによるSCとしての対応も、行政組織の人事異動等が取り組みへの障害になる可能性があることが、SC認証各地域で確認された。 しかし、SC導入効果として、危険性の未然防止という視点が近年の大規模災害に備えたまちづくりや住民相互の助け合いという点で、人々の意識化を高める点では有効であることがSCを推進していく自治体職員の中では意識されていた。この地域住民同士の繋がりや地域課題に対する意識化の醸成として、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)をどのように地域で高めていくのか、その1つとしてSCをどのように位置づけてまちづくりに活用していくのか、利害関係者間の合意形成の図り方がSCにおける取り組みを大きく左右することを確認した。 これまで明らかにされたSCにおける課題や継続性の要素を元に、3年目にはSC機能の応用が具体的にどのように可能なのかを特定地域におけるまちづくり実践の中で検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目の取り組みを多少遅れているが、当初から3年目(2017年)に予定していた特定地域におけるSC機能の応用実証については、対象地域を変更の上で予定通り実施できる見込みである。当初は大学所在地域(北海道名寄市)の近郊にて予定していたが調整が付かず、代わりにこれまで関わりのあった山梨県北杜市のある地域を対象に実施する予定である。 年内に一連の実践内容を報告書としてまとめ、2018年中の学会発表および論文作成を予定していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の実績を踏まえ、SC機能の応用可能性を検討するため、山梨県北杜市のある地区を対象に、日常生活上の危険事象の防止を主とした地域作りを今後実証的に行っていく。地域住民の日常生活からの危険に関する意識作りと、まちづくりを担う関係機関や民生委員・児童委員のかかわり方から、長期的・継続的な安全・安心な生活環境をどのように作り上げていくことができるかを検討していく。 具体的には対象地区でまちづくり推進を担っている方に協力を得て、地域住民への日常生活における危険や1年間の受傷・疾病状況を把握する全数調査を実施する。その結果から、地域住民の受傷・疾病傾向を明らかにし、住民主体でのまちづくりや日常生活上の取り組み(見守り、危険への意識化)を検討していく。 3年目が研究の最終年となるが、その後も受傷・疾病状況の把握とまちづくりへの応用の仕組みは継続して実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった物品の未購入(研究図書を含む)および調査に伴う出張の未実施、調査データ分析の謝礼、これらの支出が少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に実施できなかった分も含め、2017年度に出張を伴う調査を4回(6月・8月・11月・1月)行う予定である(いずれも北海道名寄市から山梨県北杜市へ)。各調査実施に伴い得られたデータの集計・分析作業に関する謝礼を支出予定である。
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