2016 Fiscal Year Research-status Report
在宅ワークによる就職困難者の就労支援と生活保障システムの構築に関する研究
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15K17237
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高野 剛 立命館大学, 経済学部, 准教授 (70534395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テレワーク / 内職 / 在宅就労 / 家内労働 / 就労困難 / 就業支援 / 授産事業 / 福祉的就労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、就職困難者(母子家庭の母親、障害者、被災地域・過疎地域の住民など)に対する在宅ワークによる就労支援と、最低限生活するためにどのような生活保障システムを構築すれば良いのかについて明らかにすることである。この研究目的を達成するために、平成27年度から平成29年度に、行政機関や公益法人等へのインタビュー調査や資料収集などを実施する研究計画を策定した。平成28年度は、平成27年度で明らかにしたZ地区以外でのひとり親家庭等の在宅就業支援事業について調査した。具体的には、情報通信産業の在宅ワークではなく、製造加工作業の家内労働を対象とし、滋賀県と福岡市で実施された洋服リフォーム業の内職と京都府で実施された西陣織の内職の実態と問題点を明らかにした。また、ひとり親家庭等の在宅就業支援事業の終了後に訓練プログラムの受講生がNPO法人を設立した事例として、3ヵ所のNPO法人へインタビュー調査を実施することができた。訓練修了後に在宅ワークで働いている母子家庭の母親4名からもインタビュー調査に協力していただくことができた。一方、東日本大震災の被災地域の社会的企業にインタビュー調査をすることで、被災地域における就職困難者の就労支援と在宅ワークの実態についても明らかにすることができた。さらに、過疎地域における就職困難者の就労支援と在宅ワークの実態についても明らかにするため、3月17日金曜日に東京で開催された総務省の「ふるさとテレワークセミナー」に出席し、情報収集をおこなった。上記の通り、平成28年度の研究実施状況は、当初の研究実施計画どおり順調に進めており、研究成果は雑誌論文(『立命館経済学』)や学会報告等(社会政策学会)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度上半期は、ひとり親家庭等の在宅就業支援事業について、Z地区以外の製造加工作業の家内労働の実態と、事業終了後にNPO法人を設立した事例などを明らかにすることができた。また、平成28年度下半期には、東日本大震災の被災地域の社会的企業をインタビュー調査することで、被災地域・過疎地域における在宅就業支援事業の実態についても明らかにすることができた。研究成果は雑誌論文(『立命館経済学』)や学会報告等(社会政策学会)で発表し、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、東日本大震災の被災地域の社会的企業にインタビュー調査をすることで、被災地域における在宅就業支援事業について明らかにすることができた。また、過疎地域における在宅就業支援事業についても明らかにするため、総務省の「ふるさとテレワークセミナー」に出席し、情報収集をおこなった。総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」については、現在進行中の事業であるため、平成28年度に十分に明らかにすることができなかった。平成29年度は、過疎地域における在宅就業支援事業については、総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」を中心に、資料収集やインタビュー調査を実施する。また、被災地域における在宅就業支援事業については、より詳細なインタビュー調査や資料収集を行う。さらに、障害者が在宅就業に従事している事例についてもインタビュー調査を実施する。平成27年度~平成29年度の研究実施計画によって得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、平成27年度に数ヵ所の団体へインタビュー調査を実施することを目標としていたが、本務校での学内業務などの諸般の都合により、Z地区のみをインタビュー調査したため、平成28年度使用の研究費が発生することになった。平成28年度については、7団体と4名の在宅ワーカーからインタビュー調査を実施するなど当初の計画どおりに研究することができた。平成28年度は当初の計画どおりであるが、平成27年度に次年度使用額が発生したため、平成29年度使用の研究費が発生することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の研究期間は、平成27年度~平成29年度である。平成29年度の研究費の使用計画は、以下の通りである。まずインタビュー調査に必要な旅費及び謝金、次に先行研究を収集・検討するために必要な図書・資料を購入する物品費、さらに情報収集や研究成果の発表のために必要な学会・研究会の参加費用などを予定している。
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Research Products
(3 results)