2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing care workers' expertise based on interaction analysis of `formulation' practices
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15K17245
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
城 綾実 滋賀大学, 教育学部, 特任講師 (00709313)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 会話分析 / 相互行為 / 身体的表現 / ジェスチャー / 粒度 / 定例会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,従来言語化・可視化されてこなかった介護職員の専門性を抽出・体系化し,介護職員の専門性の社会的確立への貢献を目指すものである.具体的には,会話分析という研究プログラムに基づいてケア実践の方針を議論するミーティング場面を精緻に記述し,介護職員の職能との関係を明らかにすることを目的とする.また,こうした研究を通じて,いまだ蓄積の乏しい身体的・物質的資源と相互行為の組織化過程の精緻な記述法の提案も目指す. 平成29年度の成果は次の通りである. 平成29年度は,グループホームの利用者(認知症高齢者)の状態の報告時に用いられる身体的表現の組み立てられ方に着目して分析を進めた.会話分析の創始者の一人であるE. A. Schegloffが指摘した,発言の組み立て関する粒度(granularity: 詳細度と訳されることもある)の知見をもとに検討した結果,定例会議における報告の構造と身体的表現の組み立てられ方について,次のような傾向がある可能性を指摘した.報告において会議参加者に周知したいことや主張したいことと共に産出される身体的表現は,粒度が細かったり,力を入れたり,繰り返したりといった形で強調して組み立てられ,当該報告の終了部とともに産出される身体表現は,粒度が粗かったり,力が抜けていたりといった,やや弱められた形で組み立てられる.この内容は,2017年7月に開催された第15回国際語用論学会において報告したほか,複数の勉強会・研究会にて検討を重ねた. なお,昨年度より分析を進めていた物質および身体が有する物理的な構造的同形性と規範的構造については,2017年7月に開催された国際エスノメソドロジー・会話分析学会での報告,および2018年2月に刊行された単著にて,相互行為における身体的表現を分析する際に考慮すべき重要な視点であることを述べた.
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