2017 Fiscal Year Annual Research Report
why harmful rumors about Fukushima-produced food continue?
Project/Area Number |
15K17246
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
樋口 収 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (50625879)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 風評被害 / 進化心理学 / 行動免疫システム / 非意識的処理 / 福島第一原子力発電所事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、まず樋口・埴田(2017)の概念的追試を行なった。樋口・埴田(2017)の結果は、福島第一原発事故に伴う食品の風評被害対策としてとられている現在の情報提供が必ずしも有効ではなく、現在使われている情報を読んだ後では、かえって罹患の懸念が高まる可能性を示唆するものであった。本年は、この実験の概念的追試を行い、独立変数の操作は変更せず、従属変数を非意識的測定(IAT)から意識的測定(感情温度計)に変更した実験を行なった。結果は、樋口・埴田(2017)の結果と同様のパターンを示しており、現在の情報提供が必ずしも有効ではないことが示唆された。 続けて、こうした情報提供を有効にするための方法について心理学的観点から検討を行なった。具体的には、Sacco et al. (2014) の研究から、現在提供されている情報が罹患回避目標を高めるならば、情報を読む前に別の目標を高めることで、罹患回避目標を高めないようにすることが考えられた。そこで、情報を読む前に内集団協力目標を高める条件と高めない条件を設け、その後に情報を読んでもらい、他の目標の活性化が罹患回避目標を低減させるかどうかを2つの実験を通じて検討した。その結果、いずれの実験においてもこの仮説は支持されなかった。そのため、情報提供のあり方については、今後さらに検討することとなった。 加えて本年は、これまで得られた研究結果について、日本社会心理学会にて学会発表を行い、また心理学研究などの学会誌や紀要、報告書に論文としてまとめ、成果報告を行った(e.g., 樋口・埴田, 2018; 樋口・下田, 2017; 埴田・樋口, 2017; 田戸岡・樋口・唐沢, 2018)。
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Research Products
(9 results)