2015 Fiscal Year Research-status Report
「規範の伝搬」による当為的信念の形成についての研究
Project/Area Number |
15K17250
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 裕士 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (60621604)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 社会規範 / 当為的信念 / ベイズ統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究計画を遂行する上で必要な文献収集及び,理論研究を行った。 当為的信念の成立過程において,信念の概念的整理と,その数理的なアプローチのための理論的整備を行った。具体的には,信念を他者の行動への予期とし,そしてさらに当為的信念を「他者すべからくこのように行動するだろう」という当為性を含んだ予期であると定義した。 そのうえで,予期を確率分布によって表現することで,数理的に信念を扱うための理論枠組みを考案した。ベイズ統計学のアプローチのアナロジーから,他者の行動に対する当為的信念が,他者の行動を予測するための統計モデルによって表現可能であると考察した。これは,他者がどのように行動するかを予測するときに,確率分布とそのパラメータの組を予測の枠組みとし,また事前知識と実際の行動(データ)を使って推論を更新するという学習が行われることを意味する。最終的に,確率分布のパラメータの分布が当為的信念として学習される。またさらに,当為的信念そのものの事前分布として,社会規範を位置づけることが可能であること,情報量規準によってどの予測枠組み(心の理論)が妥当であるかを判断者は選択可能であることなどが考察された。これらの理論研究の成果は関西社会心理学研究会において発表された。 また,未発表ではあるが,信念や態度を確率分布として測定可能な方法論の開発を行っている。発表は来年度行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では,当為的信念を測定するためのツール開発を行う予定であったが,その前に概念的・理論的な整備が必要であると判断し,ツール開発は翌年に回すこととしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定通り,当為的信念を測定するためのツール開発を行う。ただし,当初はIATなどによる測定を予定していたが,現状は確率分布として態度を測定することができる心理統計学的な方法論の開発を行っている。
|
Causes of Carryover |
当為的信念を測定するためのツール開発を本年度行わなかったため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度,その開発を行うための開発費に未使用額を充当する。
|
Research Products
(12 results)