2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the formation of injunctive norm by normative propagation
Project/Area Number |
15K17250
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 裕士 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (60621604)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会規範 / 当為 / 命令的規範 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のメインの検討事項である、記述的規範から命令的規範がなぜ生じるのかについて、検証を行った。命令的規範が生じるのは、理由を省略した当為的言明(~すべき)が教育によって行われるという仮説をたてた。当為は本来「~するならば~すべき」という意味を持つが、教育においてはその理由が省略され、「~すべき」「~しなければならない」という命令的な内容のみが伝えられると考えた。そこで世代交代によって教育が生じ、それによって命令的規範が生じる可能性について研究を行った。 集団に世代交代がある条件と世代交代がない条件において、命令的規範が成立する程度に違いがあるかどうかを集団実験によって検討した。それぞれの条件で7つの4人集団についてデータを収集した。課題は昨年度と同様、地図を塗り分けるもので、正解があるが複数の戦略が考えられる。そのような状況において特に教育の効果が大きくなるだろうと予想された。 実験の結果、予想通り、世代交代がある条件において命令的規範が強く形成されることが明らかとなった。一方で、世代交代がない条件においても一定程度の命令的規範が形成されたことから、本実験の課題のみではとらえられない命令的規範の形成プロセスの存在も示唆された。これらの結果は、政治行動学研究会や日本社会心理学会などで成果を公表した。 加えて、政治的態度などのように、日本社会全体で共有されうる規範の形成プロセスについても、統計モデリングを用いて検討を行った。分布のエントロピーの小ささが収斂化を表す指標であることに注目し、マクロな特徴からミクロなメカニズムを推論する方法論についての可能性を示した。この成果は政治コミュニケーション研究会で発表した。
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Research Products
(10 results)