2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K17254
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
新谷 優 法政大学, グローバル教養学部, 教授 (20511281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 思いやり目標 / 自己イメージ目標 / 批判の表明 / 異論の表明 / 対人目標 |
Outline of Annual Research Achievements |
思いやり目標と自己イメージ目標を高める操作を再検討し,Kao, Su, Crocker, & Chang (2016)の方法を応用した実験を大学生47名を対象に実施した。思いやり目標に関連する価値観について記述させる群と自己イメージ目標に関連する価値観について記述させる群の比較を行ったが,群間の比較においても,課題の前後の比較においても,対人目標のスコアに差が見られなかった。 研究計画では,対人目標を操作した上で,これらの目標が批判・異論の表明にどのような影響を与えるかを検討する予定であったが,昨年度の実験結果と今回の実験結果から,操作により対人目標を操作するのは困難であることが明らかになったため,個人差変数として対人目標を測定することとした。一つ目の調査(n = 499)では,「自分にとって重要な集団」または「あまり重要でない集団」に対して意見の不一致があった状況について,異論を表明した頻度とその理由について尋ねた。二つ目の調査(n = 389)では,重要な集団に対して異論の表明をしたことがあると回答した者に対して,表明の頻度と表明の理由に加え,どのように表明したかについて尋ねた。その結果,思いやり目標をもつ人ほど重要な集団に対してより頻繁に,よりはっきり,かつ相手が受け入れやすいように異論を表明することが明らかになった。また,異論の表明がしやすくなるのは,異論の表明が集団のためになると考えているためであることも明らかになった。一方,自己イメージ目標をもつ人ほど,異論の表明の頻度が低いことも明らかになった。さらに大学生94名を実験室に呼び,思いやり目標の高い人ほど,実際の行動として異論の表明を行うかを測定したところ,調査結果に合致する結果を得たことから,頑健な知見が得られたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
思いやり目標と自己イメージ目標の実験操作方法が確立できなかったために,当初予定していた介入実験が実施できなかった。途中で方法を調査に変更し,データ収集・分析を終えたが,年度末までにそれを論文にして発表することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室において異論の表明を行動指標として測定した研究では,サンプル数が少ないため,統計処理に問題があった。そのためサンプル数を増やし,検定力を高める。また,これまでの結果を学会で発表し,論文にまとめてジャーナルに投稿する。
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Causes of Carryover |
予測していた研究結果が得られず,年度の途中で研究方法を変更した。データの収集はほぼ完了しているが,年度内に研究結果をまとめ,学会発表および論文の執筆ができなかった。次年度(2018年5月),Association for Psychological Scienceでの学会発表が採択されているので,繰越金を学会発表の費用に充てる。サンプル数が足りていない研究があるので,参加者の謝金を支払う。また,論文執筆の際の英文校正費に充てる。
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