2015 Fiscal Year Research-status Report
市民参加の持続性と多様性をもたらすコミュニティ組織運営手法の開発
Project/Area Number |
15K17256
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
高橋 尚也 立正大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10581374)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 地域活動運営スキル / 協働 / コミュニティ / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、コミュニティ内の地域活動組織において、継続的で多様な市民参加を促進するための運営技法を開発することを全体目的とし、平成27年度は、地域活動組織における継続的で多様な市民参加を促進する運営技法を開発するための基礎として、「地域活動運営スキル」の構造把握と尺度作成に取り組んだ。 実績の第1として、平成27年9月には連携先である品川区保護司会の研修会の中で、今後の運営に必要な事柄についての意見交換を行った。この中では、活動をどのように一般の人にPRしていくかという視点の重要性や、活動している者に対して、「活動していればやがてためになる」という意識だけでは活動を継続する者が減っていく可能性などが議論された。 実績の第2としては、東京都内の種々のボランティア活動団体に所属する56名に対して、調査票調査を実施し、地域活動運営スキルの構造を探索的に把握した。その結果、「他者の歓迎」「傾聴」「初心者意識」「主体的行動」の4因子が抽出された。ボランティアの継続意図を基準変数、その他、活動組織の要因、ボランティア動機、地域活動運営スキル等を説明変数とする重回帰分析の繰り返しによるパス解析を実施したところ、地域活動運営スキルの「他者の歓迎」がボランティア継続意図を促進していた。この結果は、他者の歓迎スキルの高い人が、変化の激しい運営状況に対する耐性を有すると同時に、メンバーの多様性を認め合っているためと考察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の年度計画の通りに研究実施ができている。特に調査票調査において、地域活動運営スキルの構造を探索的に検討できたことは成果と言える。ただし、平成27年度に実施した調査票調査は、標本数が少なかったりボランティア組織に限定されていたりといった限界点があった。そこで再度同様の調査を他組織のメンバーに対して実施し、結果の再現性や妥当性を確認していく必要があると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
定量的な研究としては、平成27年度からの継続として、地域活動運営スキルの構造の確認を行う必要がある。他方、訂正的な研究としては、まず、地域活動組織で多様な意見を把握する手法を試作し、地域活動運営スキルを含めた、効果的なフィードバック方法の検討を実施する。 その上で、地域活動組織の運営を支援するために、特定の地域活動組織に注目し、地域活動運営スキルを測定する調査を実施する。当初計画では、平成28年度中に複数地点に適用することとなっていたが、地域差や、測定尺度の安定性を考慮し、1地点ずつ適用していくことが妥当と考えられる。
|
Causes of Carryover |
当初予定されていた国際学会への出張が、平成27年度から平成28年度へと参加計画の変更を行ったこと、および、実施した調査の回答者数が少なく、短期雇用謝金が発生せずに完遂できたことが主な理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に参加するThe Society for the Psychological Study of Social Issues(SPSSI)のサマーカンファレンスへの旅費に充当する。
|