2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study about the cognitive process underlying the relationship between thought suppression, rumination, and depression
Project/Area Number |
15K17258
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
服部 陽介 京都学園大学, 人文学部, 講師 (40733267)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 思考抑制 / 反すう |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,反すうと思考抑制の因果的関係を明らかにすることを目的としている。平成30年度は,反すうと思考抑制の逆説的効果の関係を詳細に検討するための実験を実施した。反すうは,現状と達成できない水準との消極的な比較を行う傾向である考え込みと,問題解決に向けた自己に関する能動的な思考を行う傾向である反省的熟考に分けられる。これらの2側面のうち,特に,反省的熟考の傾向が高い個人は,思考抑制後に生じるとされる抑制対象への内発的動機に高まりに反応して,抑制対象に関する思考頻度を高めやすい可能性がある。そこで,99名の大学生を対象に実験を実施した。その結果,思考抑制が困難な状況を経験した方が,その後の自由に好きなことを考えられる状況で抑制対象に関する思考頻度が高くなるリバウンド効果を経験していることが示された。また,思考抑制が困難な経験をした後には,反省的熟考傾向が強い個人ほど,抑制対象に関する思考頻度が高くなることが示され,これらの関係の背景には,内発的動機の高まりが関与することが示唆された。これらの結果は,日本パーソナリティ心理学会第27回大会で発表された。 また,思考抑制がもたらす結果に関する信念の一部が思考抑制と反すうの関係を強める可能性について検討を行った。一か月の2時点のインターネット調査の結果,134名の回答が得られ,思考抑制を行うことがかえって抑制対象についての思考を導くという内容の信念 (逆説的効果信念) の確信度が高い個人では,日常的に思考抑制を行う傾向が強いほど,1か月後の考え込みの傾向が強いことが示された。さらに,結果の頑健性を確認するために,同様の縦断調査を実施したところ,264名の回答が得られ,先の研究と同様,逆説的効果信念の確信度が,思考抑制傾向と考え込み傾向の関連を調整することが示された。これらの結果の一部は,日本社会心理学会第59回大会で発表された。
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