2020 Fiscal Year Annual Research Report
Emotion and attachment in infancy: role of emotion as organizer of relationships
Project/Area Number |
15K17264
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
本島 優子 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (10711294)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 情動発達 / 乳児期 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)生後1年目において、養育者自身の情動特性や養育行動に起因して、乳児の情動の特質がいかに形成されていくのか、(2)生後1年目の乳児の情動の特質が生後2年目(18ヵ月)の乳児のアタッチメントをいかに予測しうるのかについて縦断データに基づいて実証的に明らかにすることを目的とした研究である。 当初、生後3ヵ月から18ヵ月までの縦断調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、本年度に予定していた生後18ヵ月の調査(アタッチメントの測定)を中断することとなった。そのため、当初の研究計画を変更し、最終的に、目的(1)の乳児期の情動発達を規定する諸要因(乳児の気質、家庭内の情緒的雰囲気、養育者の情動特性、養育行動)について検証することとした。 母子53組を対象に、生後3ヵ月、4ヵ月、6ヵ月、10ヵ月時点で縦断調査を行った。乳児の情動実験は、Laboratory temperament assessment battery (Lab-TAB: Goldsmith & Rosbert, 1999)に準じて実施した。分析の結果、生後3ヵ月に回答された母親の怒りや敵意の情動経験が、生後4ヵ月もしくは6ヵ月の乳児の喜びの表出と有意に負に関連しており、日常において怒りや敵意の情動をより多く経験していた母親の乳児ほど、後の喜びの情動表出がより低かったことが示された。養育者自身の情動特性が乳児の情動発達に一定の影響を及ぼしうることが示唆された。 今後の課題として、まだすべてのデータの分析を終えていないことから、早急に分析を進める必要がある。特に、養育者の養育行動について評定を行い、乳児期の情動発達に果たす養育環境の役割についてさらに詳しく検討し、明らかにしたいと考える。
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