2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K17267
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
奥村 太一 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90547035)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 単一事例実験 / メタ分析 / 効果量 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hedges, Pustejovsky, & Shadish (2012) が提案した単一事例実験における効果量ES(標準化平均値差)について検討を行った。Cohenのdが処置の群内平均平方にもとづいて平均値差を標準化しているのに対し、HedgesらのESは時点(セッション)の群内平均平方にもとづいて平均値差を標準化している。 異なった平方和の分割にもとづく効果量が標本変動においてどのような違いを見せるのか、またESはdは平均値差を同じ意味で標準化しており相互比較可能であるのか検討するために、メタ分析により標本効果量を統合するという想定の下でシミュレーションを行った。 その結果、ESはdに比べて全体的に小さめの値をとることがわかった。ただし、標本効果量について、(1)母集団効果量δは絶対値そのもの、(2)級内相関係数はプラス方向、(3)1次の自己相関はマイナス方向、(4)統合するケースの数はマイナス方向、というバイアスを生じさせることから、ESとdのどちらかが常にδに近いとは言えないことがわかった。また、バイアスが(プラスマイナスどちらでも)大きくなるような条件であるほどd>ESの傾向は顕著であった。従って、マイナス方向のバイアスがかかる条件ではESのバイアスがより大きくなり、プラス方向のバイアスがかかる条件ではESのバイアスはより小さくなると言える。 引き続き、級内相関や自己相関に関する補正を行った場合の標本効果量の統計的性質について検証する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ABデザインだけでなく多重ベースラインデザインなど、単一事例実験のメタ分析に広く用いられることを期して提案された効果量について、既存の効果量と比較した統計的性質の違いを検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トレンドを考慮するための効果量の改良と検定力分析についてさらに検証を進める。
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