2017 Fiscal Year Annual Research Report
On the effect size and power analysis in single-case experimental research
Project/Area Number |
15K17267
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
奥村 太一 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90547035)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | (AB)^1デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
線形トレンドのある(AB)^1デザインについて,トレンドを考慮した効果量の標準化について検討を行った。ただし,応答変数は量的な連続変数とする。トレンドがある場合,当然のことながらベースライン期,処置期いずれについてもどの時期を評価の対象として選ぶかによって応答変数の平均値差は異なってくる。もっとも,縦断的な研究に限らず,実験群と統制群を対象とした横断的な集団比較においても,その背後にトレンドが存在することを想定することは自然である。 さて,Yを応答変数,Xを処置を表すダミー変数,Tを経過時間とすると,ここでのモデルは Y=α+βT+δX+γTX+e と表すことができる。α,β,δ,γはそれぞれ切片,時間の主効果,処置の主効果,時間と処置の交互作用効果に相当する。ここでは,切片αを変量効果と考える。(α以外に変量効果を仮定すると,2群のデータの等分散性が失われるため,そもそもCohen's dと比較可能な標準化指標を設定することができなくなる。) ここでベースライン期における評価時点をT_C,処置期における評価時点をT_Eとし,仮にT_E = 2T_Cなる仮定を置くとすると,自然なトレンド変化を除去した場合の平均値差はいわゆる「差の差分析」の効果の大きさ γT_C に相当することが導かれる(ただし,通常の「差の差分析」と異なり,2時点のデータだけ用いるわけではない)。時間の単位は任意であるから,T_C=1と設定すれば効果の大きさはγで評価できることになる。モデル上,データのばらつきを発生させる要因はαのSDとeのSDであるから,これらをそれぞれσ_α,σ_eとおくと,処置効果γはd=γ/√σ_α^2+σ_e^2と標準化できることがわかる。
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