2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K17269
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中道 圭人 静岡大学, 教育学部, 准教授 (70454303)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幼児 / 反事実的思考 / 反実仮想 / 因果推論 / 認知発達 / 領域特殊 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は心理的事象に関する下位領域に注目し,「感情に関する因果的連鎖」や「知識状態に関する因果的連鎖」についての反事実的思考の発達を検討した。 実験では子ども園の3-6歳児34名(M = 58.47ヶ月)を対象として,各参加児に個別面接で2種類の反事実課題(感情課題2問・知識課題2問の合計4問)を行った。いずれの課題でも,はじめに,5つの場面からなる因果的連鎖(初期状態⇒原因事象Ⅰ⇒結果状態Ⅰ⇒原因事象Ⅱ⇒結果状態Ⅱ)を含んだ物語を読み聞かせた。たとえば,感情課題では「主人公は菓子を持って,庭で花を見て,嬉しい気持ちである⇒犬が花を踏む⇒主人公は悲しい気持ちになる⇒主人公はお菓子を落とす⇒主人公はとても悲しい気持ちになる」,知識課題では「主人公はある花と果物の色を知らない⇒兄が花の色を主人公に教える⇒主人公は花の色を知る⇒姉が果物の色を主人公に教える⇒主人公は花と果物の両方の色を知る」といった内容の物語があった。それぞれの物語の後,参加児に統制質問2問(物語の最初/最後の状況に関する質問),反事実質問(例:もし原因事象Ⅱが異なっていたら,結果状態Ⅱはどのようになっていたか?)を尋ねた。 実験の予備的な分析の結果は,以下の通りである。1.全体的な課題の遂行は3-4歳群(正答率 = 27.5%)より5-6歳群(正答率 = 57.5%)で良かった。2.いずれの年齢群でも,各課題の遂行は,知識課題(全年齢の平均正答率 = 38.0%)より感情課題(全年齢の平均正答率 = 53.0%)で良かった。 この実験は,同じ心理的領域に含まれる内容(感情,知識)であっても,幼児の反事実課題の遂行がそれぞれの内容(下位領域)によって異なることを示した。この結果は,反事実的思考の発達が全般的な能力だけでなく,知識等の他の要因に影響されている可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の実験では,物理領域や心理領域といった大きな知識領域だけでなく,同じ知識領域であっても,反事実的推論の発達が異なる可能性が示された。これは,平成28年度以降に「反事実的推論がいつ頃から可能になるのか?」という発達に関する基本的な問いにアプローチしていく上で,既有の知識状態を領域以外の観点でとらえる必要性を示唆するものであった。 また,この実験以外に予備的な実験を行うと共に,平成27年度では先行研究を再度レビューし,別の観点での実験を構想中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には,以下の3つの実験を予定している。 (1)本研究の反事実課題で使用してきた物理領域・心理領域の因果的事象に関して,幼児がどのような知識を持っているのかを検討する。 (2)平成27年度の実験とは異なる要因を操作した物語を作成し,その物語に関する反事実質問を尋ね,発達による遂行差を検討する。 (3)反事実的思考が他の思考の際にどのように使用されているのかを検討するため,反事実的思考と「感謝することの理解」の関連について検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度中は,日本発達心理学会での研究発表を予定していた。例年,この日本発達心理学会は3月に学会大会が開催されていた。しかし,本年の大会(第27回大会)は例年とは異なり,開催日程が平成28年4月29日-5月1日であったため,学会発表等での費用(参加発表費・旅費)を使用しなかった。また,購入予定であった海外書籍が公刊日の変更などで購入できなかった。このため,当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該助成金は日本発達心理学会での発表および海外書籍の購入に使用し,翌年度分として請求した助成金は研究実施や他の研究発表のために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)