2017 Fiscal Year Research-status Report
共同意図に基づいた協力行動に関する発達心理学的研究
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15K17272
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 真由子 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (60707793)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共同意図 / 協力行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では幼児が共同意図に基づいて協力行動を示すのかに着目した。共同意図に基づいて協力するためには、相手が共通目標を目指していることを意識して共に助け合う必要がある。本研究では、相手が共通目標を目指していない状況で「あえて助けない」行動がどのように発達するのかを検討した。具体的には、紙芝居を用いた仮想場面において相手との間に共同意図がある状況、ない状況を提示し、それぞれの状況で幼児がどのように行動するべきだと思っているのか、またその行動の理由を聞き取ることによって、幼児が共同意図に基づいた協力行動の必要性をいかに認識しているのかを調べた。さらに集団保育場面において行動観察を行い、児同士の近接関係から中心性指標を算出し、共同意図に基づいた協力行動に関する理解との関連を検討した。 その結果、4-5歳齢児では相手の共同意図がないことが明確に示された状況であっても、援助を控えるという理解はあまり見られなかった。また、相手の共同意図に応じて協力するかどうかには誤信念課題の得点が影響することがわかった。つまり他者の心的状態を理解できる児ほど、相手との共同意図に基づいた協力行動をするべきであると理解している可能性が考えられた。共同意図に基づいた協力行動に関する理解と中心性指標との間には有意な関連は見られなかった。4-5歳齢児では、共同意図に基づいた協力行動に関する理解が児の仲間関係に影響を及ぼす段階ではない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紙芝居を用いた個別課題、集団保育場面での行動観察、ともに順調にデータ収集が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
分析結果を取りまとめて、投稿論文の執筆を行う。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国際学会に参加しなかったため、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画としては、国内外の学会において研究成果を発表していく予定である。
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