2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17276
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
島 義弘 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 講師 (00631889)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発達心理学 / 認知 / 社会性 / 実行機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は前年度に引き続き幼児を対象とした実験を行うとともに,前年度に収集した横断データを分析し,学会発表および論文作成を行った。今年度収集したデータ,および今年度から利用可能になった縦断データについては,分析を進め,学会発表,論文作成を行う予定である。 本研究では,他者の心を理解すること(認知)と他者と適切に関わること(社会性)がどのように関連しあって発達していくのか,そのダイナミックなプロセスを描出するために,これらの能力が大きく発達する幼児期の子どもを対象とした縦断研究を行っている。今年度は2年目の研究として,研究協力園に在籍している3・4・5歳児計約90名を対象とした実験を実施した。このうち,4・5歳児計約50名は前年度から継続の実験参加者である。 本研究では,認知能力を測るものとして心の理論課題,社会性を測るものとして向社会的判断に関する課題,認知能力と社会性の両者に関わる能力である実行機能を測る課題その他を実施している。前年度の研究成果として,横断データにおいて,他者の心の理解が複雑な感情の理解につながること,複雑な感情を理解できるようになることが向社会的判断を促進することなどが示された。今年度は横断データにおいて,援助要請が明確である場合は心の理論とは無関連に向社会的行動が取られるが,援助要請が不明確な場合は心の理論が発達しているほど,他者の置かれている状況に合わせた適切な向社会的行動が生起しやすいことを報告した。 縦断データについては分析が進んでいない。短いスパンの中で認知と社会性が相互に影響を与えあいながら,幼児期の発達は進んでいくことが予測されるため,このような関連を示すべく,検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力園との連携により,継続的にデータの収集ができている。得られたデータは学会発表や論文として公表しているが,いずれも横断的な分析にとどまっている。多様なデータを数多く得ることができた一方で,複数回の測定による縦断データの分析に着手できていない。 したがって,データ収集は順調に進んでいるが,成果の公表に遅れが生じているため,全体として「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き研究を実施することについては研究協力園との合意を得ているため,データ収集については順調に進むことが期待される。研究協力園の負担軽減と効率的な研究推進のため,調査項目を精選する。一方で,これまでに得られた知見をより豊かなものにするために,これまでとは異なる視点からのデータ収集についても検討したい。必要なデータを確実に得られるようにするために,研究協力園との密な連絡を継続する。 データの収集,分析,公表を着実に進めるための手立てとして,アルバイトの雇用を計画している。特に,これまでデータの収集は順調に進んでおり,研究協力園との関係も構築されているため,データの収集と整理に助力を得,研究代表者が分析と成果の公表に注力できるような体制整備をしていきたい。
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Research Products
(8 results)