2016 Fiscal Year Research-status Report
大学生の学修時間と主体的な学修態度が学修成果に及ぼす複合的影響に関する縦断的研究
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15K17277
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
畑野 快 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (50749819)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 主体的な学修態度 / 学修時間 / 本質的な学修成果 / 大学生 / オンライン調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度における研究実績は、1.主体的な学修態度尺度の妥当性を古典的テスト理論だけでなく新テスト理論(i.e., 項目反応理論)によって検討したこと、2.国内外における研究会・学会に参加することにより研究を推進するための情報収集を行ったこと、3.前年度に開発した日本版VALUEルーブリックの利便性を向上させるため、新たな尺度として本質的な学修成果尺度(Essential Learning Outcome Scale)の開発を行ったことにまとめることができる。1に関して、これまでの研究成果で得られた観点に加えて項目反応理論を用いて主体的な学修態度を検討することで、その妥当性および項目特性を精緻に分析した。その結果は日本教育工学会論文誌に掲載された。2に関しては、3つの国際学会(i.e., International Conference on Psychology, International Association for Cross-Cultural Psychology, European Association for Research on Adolescence)および1つの国内学会(i.e., 青年心理学会)に参加し、データを解析するための統計技法に関する情報及び大学生の学びと成長についての情報を収集した。3に関しては、前年度に開発した日本版VALUEルーブリックの記述内容に基づき、本質的な学修成果尺度の項目を作成した(i.e., 90項目)。ルーブリックの基準を尺度化することにより、大規模なサンプルの学修成果をこれまで以上に簡易に測ることが可能となった。開発された項目の信頼性および妥当性を検討するため、大学生800名にオンライン調査を行った。現在は得られたデータを基に分析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H28年度の研究は当初の計画以上に進展している。その理由は、研究を進めるための環境が十分に整っていたため、研究を当初の計画以上に研究を遂行できたことが挙げられる。また、当初の計画では日本版VALUEルーブリックの活用のためにはレポートなどの成果物が必要であったが、VALUEルーブリックの基になっている本質的学修成果を測定するための尺度を開発することにより、成果物がなくとも学生の実際大規模なサンプルを対象に調査を実施するための素地を整えたことがその理由として挙げられる。実際、この尺度を用いてオンライン調査を実施し、当初の目的である学修時間と主体的な学修態度が学修成果に及ぼす複合的な影響を検討するための検討を行っている。さらに、主体的な学修態度尺度の妥当性に関する研究は、当初の予定よりも早く論文誌に掲載されている。このことも本研究が当初の計画以上に進展していることを示す証左の一つとして挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本研究の目的である学修時間と主体的な学修態度が学修成果に及ぼす複合的影響について検討を行う。具体的には、第2時点目のオンライン調査を実施し、1時点目の学修時間と主体的な学修態度が学修成果に及ぼす影響を階層的重回帰分析によって検討する。その際、先に学修時間、主体的な学修態度、学修成果の関係を交差遅延効果モデルによって検討することで、その因果の方向性について確認することで、因果関係に踏み込んだ検討を行う。なお、これらの研究成果については日本教育工学会第33回全国大会等で発表を行う予定である。
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