2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児・児童期の情動表出の発達とそのメカニズムの解明:表情と言語の相補的機能の検討
Project/Area Number |
15K17279
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
平川 久美子 石巻専修大学, 人間学部, 助教 (30711246)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情動表出 / 表情 / 言語 / 幼児 / 児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、保育・教育現場における「気になる」子どもや発達障害をもつ子どもの中には、自分の情動や行動のコントロールが難しい、他者の気持ちを理解できない、自分の気持ちを適切に表現できないなど、情動面に問題を抱えている子どもが吹産まれている。このような情動面に問題を抱える子どもの理解と対応が、保育・教育現場における課題の1つになっている状況の中で、情動表出の発達的変化およびその発達のメカニズムの解明は必要不可欠である。このような点から、本研究では幼児期から児童期にかけての情動表出の発達的変化およびその発達のメカニズムの解明を目指す。 情動表出は、表情や言語、声のトーンなど様々な方法を組み合わせて、過度に表出したり抑制したりすることのないよう全体としてバランスをとりながら行われていると考えられる。幼児期後期に言語による自己主張が顕著に発達することを踏まえると、言語で表出する場合には表情は抑制され、逆に言語で表出しない場合には表情で表出するというように表情と言語は相補的に機能するようになっていくと考えられる。したがって、本研究では表情と言語との関係の変化という点から幼児期・児童期の情動表出の発達を明らかにする。また、そのような情動表出の発達に影響を及ぼす要因として相補性の理解を取り上げ、相補性の理解が幼児期・児童期の情動表出の発達に及ぼす影響を明らかにする。 2015年度は、情動表出および相補性の理解を調べる課題を作成するために、文献研究および国際学会における情報収集を行った。また、保育所における「気になる」子どもの情動発達の特徴を明らかにするために、担任保育者に「社会性発達チェックリスト」を用いて子どもの発達状態をチェックしてもらった。その結果、「いやなことをされても気持ちを抑えて『やめて』と言える」という項目において典型発達児よりも「気になる」子どもの発達の遅れが顕著だった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
情動表出および相補性の理解を調べる課題を作成にあたっては、文献研究および国際学会での情動収集を行った。しかしながら、課題の作成に時間を要したため、当初予定していた予備調査が実施できなかった。したがって、2016年度に予備調査および本調査を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、作成した情動表出を調べる課題および相補性の理解を調べる課題を用いて幼児・児童を対象に予備調査を実施する。予備調査の結果に基づき、課題を適宜修正するなど課題を精査した上で、本調査を実施する。調査結果は、回答を得点化するなど量的データとして統計的な分析を行い、年齢群間で比較を行う。また、情動表出の課題の結果と相補性の課題の結果の関連を調べる。調査結果は学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
2015年度に予定していた予備調査が実施できなかったため、予備調査の調査補助にかかる謝金を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に予備調査を実施する際の調査補助にかかる謝金として使用する。
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Research Products
(2 results)