2015 Fiscal Year Research-status Report
学校組織と教員のエンパワーメント過程および状態モデルの生成
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15K17280
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
池田 琴恵 東京福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (70734169)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エンパワーメント / 学校組織 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,①エンパワーメント概念における文化的差異の検討,②学校における個人および組織レベルのエンパワーメント過程の検討,③学校におけるエンパワーメント状態の要素の3点について検討を進めた。 まず①の文化的差異の検討では,日本の学校という場におけるエンパワーメント概念およびエンパワーメントを高める方略について,国外から導入されてきた概念および方略の文化適応の問題とその解決法について検討を行った(米国学会にて発表)。次に,②エンパワーメント過程の検討では,国内小学校におけるアクションリサーチのフィールドノートやインタビューデータの質的分析を行い,エンパワーメント過程の分析を中心に研究を進めた。5校の学校への介入事例の分析を進める中で,学校組織におけるエンパワーメントが進む過程では校長の学校組織運営の在り方が大きな影響を及ぼすこと,また,学校組織のエンパワーメントが進む要因となる校長自身のエンパワーメントがどのように進むかを明らかにした(学術論文として国内学会誌に投稿中)。このエンパワーメント過程の分析においては③エンパワーメント状態についても検討を行い,現在エンパワーメント状態を測定する尺度項目の抽出を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた研究課題は(課題Ⅰ)エンパワーする過程の解明,および(課題Ⅱ)エンパワーした状態を測定するための項目の抽出であった。 (課題Ⅰ)では,管理職個人レベルのエンパワーする過程と,学校組織レベルのエンパワーする過程のモデルを複線経路等至性モデルを用いて分析し,校長や学校組織のエンパワーメント状態に至るもしくは至らないという等至点までの過程で,分岐点となる出来事とそこから発生した認識や行動を明らかにすることができ,順調に分析を進められた。また,本研究の成果であるエンパワーする過程について国内学会での発表および国内学会誌への投稿(査読中)をすることができた。 (課題Ⅱ)では,次年度の調査実施に向けて,質問紙作成を進めた。エンパワーする過程の分析にかなりの時間を要したため着手が遅れたものの,現在国外で開発され国内では翻訳されて使用されているエンパワーメント尺度と同様の項目が抽出されるとともに,異なる項目も見出されてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(H28年度)は(課題Ⅱ)エンパワーした状態の測定尺度を開発する。現在項目抽出から項目作成をしており,年度半ばまでに質問紙を完成させ,調査実施に移行する予定である。 調査の協力校については既に数件の学校から承諾を得ており,今後スノーボールサンプリングによって調査協力校を増やしていく予定である。調査実施はH28年度秋以降を予定している。
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Causes of Carryover |
当該年度にパソコンを新規購入する予定であったが,本年度は申請額よりも低くなったために購入がかなわなかった。パソコンを用いた統計分析は次年度であるため,購入を次年度に見送ったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パソコンを用いた統計分析は次年度であるため,次年度の配分金と併せてパソコンを購入する。また新規購入にあたってはOSがWindows10となっているため,SPSS,HLM等の統計分析ソフトの互換性を確認した後に,専門家のアドバイスを受けながら購入することとしている。
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Research Products
(5 results)