2015 Fiscal Year Research-status Report
学習改善への活用を促進するフィードバック法の提案と効果検証
Project/Area Number |
15K17285
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 雅之 昭和女子大学, 人間社会学部, 助教 (00708703)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | テスト / フィードバック / 学習方略 / 学習動機づけ / 感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
テストに対して,どのような認知や感情を持つ学習者がテストのフィードバック情報を学習に活用しているのかを明らかにするために,テスト観とテスト後の感情,およびテストの見直し行動の関連を検討した。また,感情の影響について検討するためには,状態感情と特性感情の違いを考慮する必要がある。そこで,同一集団について継時的にデータを取る縦断調査という方法を採用することで,状態感情と特性感情のそれぞれの影響を検討することを可能にした。こうした手法は,Goetz et al. (2016) などでも採用されている。 同一集団に対して継時的に調査を実施する場合,調査協力者に大きな負担がかかることから,調査項目は必要最小限にとどめることが望まれる。そこで,まず高校生603名を対象に予備調査を実施し,テスト結果に対する感情を測定するための尺度を作成した。そして,予備調査によって作成した尺度をもとに,高校1年生を対象に縦断調査を行った。その結果,状態感情はテストの見直し行動に対して影響を与えないが,特性感情は影響を与えることが示唆された。つまり,テスト結果に対して悔しい・恥ずかしいなどのネガティブ感情や,結果に満足した・誇らしいなどのポジティブ感情を経験しやすい人ほど,テスト後に見直しをする傾向にあった。また,感情の影響を考慮しても,学習者が持つテスト観によって,テスト後の見直し行動には個人差が生じることが示され,認知と感情が行動に対してそれぞれ影響を与えている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断調査を行うための調査項目を作成したほか,高校1年生を対象に縦断調査を実施し,状態感情と特性感情がそれぞれ異なる影響を与えている可能性や,感情と認知がテスト後の見直し行動に対して独自の影響を与えている可能性を示すなど,予定通りに研究を遂行できたことから,おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,本年度に得られた成果をもとに,調査計画を発展させて引き続き縦断調査を行うことで,テスト観やテスト後の感情,および学習行動の関連についてより精緻な検討を行う。また,テストの結果やフィードバック情報が学習者の感情に与える影響を検討するために,PCを用いた実験室実験も行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
研究成果の公表計画に変更が生じ,2016年度に開催される国際会議(ICP2016)で発表をすることになったため,国際会議の参加費の分が次年度に持ち越されることになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
発表が確定している国際会議(ICP2016)は横浜開催であり,渡航費や宿泊費等は発生しないため,持ち越された研究費は学会参加費に充てる。
|