2017 Fiscal Year Research-status Report
二次障害を持つ成人の自閉スペクトラム症に対するスキーマ療法の実証的効果研究
Project/Area Number |
15K17290
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (40625472)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スキーマ療法 / 自閉スペクトラム症 / 成人期 |
Outline of Annual Research Achievements |
【本試験の目的】合併精神障害(二次障害)を持つ自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)の成人患者に対する心理的問題に対する援助法は乏しく、エビデンスのある治療法は少ない。本研究においては、精神的な二次障害をもつ成人期のASD者に対し、パーソナリティ障害にエビデンスのある、統合的な心理療法であるスキーマ療法が有効ではないかと考え、実施した。
【方法】週1回、1回50分、25回のスキーマ療法をオープン試験にて実施した。参加者は近隣へのクリニックへのチラシ等からリクルートされ、スクリーニング検査を通過した10名(男性5名、女性5名)で、平均年齢は26.3歳(標準偏差6.3歳)であった。スクリーニング検査はADI-R,ADOS-2,WAIS-Ⅲ、M.I.N.Iであった。本試験における主評価項目はWHO-QOLWHO尺度であった。副次的評価項目はBDI-Ⅱ、STAI(State)、STAI(Trait)、OCI、LSAS(Total score)、LSAS(Fear/Anxiety)、LSAS(Avoidance)、GAFであった。また、スキーマ療法における早期不適応的スキーマや不適応的モードにおいては、ヤングスキーマ尺度、スキーマモード尺度を使用した。
【結果】25回のセッションの介入結果として、主評価尺度のWHO-QOL尺度、GAF,BDI-Ⅱにおいて、それぞれ有意な改善が認められた。また、ヤングスキーマ尺度においては有意な変化は認められなかった。いっぽうで、不適応的なモードに関しては、有意な改善が認められた。本結果から二次障害をもつ成人のASDに対してスキーマ療法は有効性があることが示唆されたが、今後は対照群の設定の必要性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究中のリクルートが難航したことから、研究の進行においてもやや遅れた出た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は結果を論文化しており、今後、英文ジャーナルへ投稿予定である。
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Causes of Carryover |
リクルートが遅れたため、英文校閲費の予定額などをまだ使用していないため、使用額に変更が生じた。したがって、今後は英文校閲費費用、論文掲載費用に充てることとする。
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Research Products
(4 results)