2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evidence based clinical study of Schema Therapy for high-functioning autism spectrum disorders.
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15K17290
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任講師 (40625472)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スキーマ療法 / 高機能自閉スペクトラム症 / 二次障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症者(ASD者)は幼児期診断がなされたほうが主観的な予後はよいことが指摘されているが、高機能のASD者(HF-ASD者)は診断が見過ごされやすく、いじめや虐待などの迫害体験を受けるリスクが高い(White, 2009; Weiss, 2010)。いっぽうで、成人のASDの治療を専門とする相談機関は極めて乏しい。さらに,自閉スペクトラム(AS)の特性への自己・他者理解がない場合は、状況が改善しにくいことがある(Oshima et al.,2014;岡本他,2015)。ASD者が自身のAS特性を十分に理解し、対処していない場合、多くは慢性的な抑うつ感、不安感、強迫観念や行為の問題、対人関係の問題など、長期的、複合的な問題を抱えやすい。 スキーマ療法はパーソナリティ障害などの複雑な疾病に対しての治療効果が得られている(Hawk& Provencher, 2012;Giesen et al., 2006)。スキーマ療法は生得的特徴や幼少期の体験により構成された過度に一般化した認知的、感情的な不適応的な感覚(早期不適応的スキーマ)を理解し、変容させることで、外的な刺激に対して、より建設的な認知的、感情的、行動的対処の育成をすることを目的としている。 筆者らは,HF-ASD者に対するSTの施行可能性を明らかにするため,HF-ASD者に対する回数限定型(25回)のスキーマ療法のパイロット試験を施行した.結果、主アウトカム(GAF/WHO-QOL)において、GAFは有意な社会機能の向上が見られ、WHO-QOLにおいても有意にQOLが上昇していた。さらに副次アウトカム(BDI-2,GAD、OCI、LSAS)においては、抑うつの指標が有意に減少していた。 本試験はパイロット試験ではあるが、成人のHF-ASD者に対するスキーマ療法の適応可能性を示唆する結果となった.
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Research Products
(8 results)