2015 Fiscal Year Research-status Report
一般小中学生における性別違和感の実態把握と心理社会的不適応の関連
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15K17293
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
浜田 恵 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (00735079)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 性別違和感 / メンタルヘルス / 心理社会的不適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
性別違和感をもつ子どもが増加し、それに伴う課題が明らかになりつつある。先行研究では臨床群を対象とした調査において、いじめ被害や不登校などの経験の高さが指摘されている。 本研究では今年度、臨床群に限らない、通常学級に在籍する子どもの中にどの程度性別違和感のある子どもがいるのかということを明らかにするために、尺度作成を行った。小・中学生4,709名を対象として実施した質問紙調査において、信頼性・妥当性を検討し、尺度を作成した。信頼性の検討では、高い内的整合性が得られた。妥当性としては、性同一性障害の診療経験豊富な医師と協議を行い、さらに保護者および教師に対して実施したChild Behavior Check List(CBCL)の結果との関連を分析した。その結果、一定の妥当性が確認された(発達心理学研究にて採択された)。尺度の妥当性の検証として、臨床群に対する調査を継続中であり、現在約30名の回答を収集した。当初の予定の20名は十分クリアしているが、精度の高い分析結果を求めるために、追加して収集中である。また、性別違和感と心理社会的不適応との関連については、分析を行った結果、性別違和感の高い子どもほど友人関係に困難をもちやすい、いじめ被害経験が多い、サポートが得られにくいということが明らかになった(14th Asia-Oceania Federation for sexologyにて発表した)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尺度の作成に関しては、論文を発達心理学研究に投稿・採択された。妥当性検証に関しては、平成27年度に臨床群のデータ収集を終える予定だったが、当初の予定よりも多い人数を集めることにしたため、時間がかかってはいるが、ペースとしては当初の予定通りである。心理社会的不適応との関連については、学会発表を行い、論文作成を行っている。縦断的検討に関しては、データの収集は終えており、現在分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究計画に沿って、臨床群データとの比較による尺度の妥当性の検討、縦断検討を用いた性別違和感の「ゆらぎ」の検討を行う。心理社会的不適応との関連については、友人関係、いじめ被害、大人からのサポート、子どもからのサポートに加え、学業ストレス、家族関係との関連についても分析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)