2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛に対する認知行動療法の治療効果と反応予測因子の検討
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15K17298
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本谷 亮 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20584189)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 心理療法 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、症状維持モデルに基づく認知行動療法プログラム、および測定指標の整備を行った。プログラムに関しては、本谷(2015)のプログラムを参考に、体験的技法や心理的柔軟性のプログラムを用いたマインドフルネス認知療法を取り入れ、構成も心理教育、セルフモニタリング(疼痛日記)、リラクセーション法をコアプログラムとしてプログラム初期に実施し、後半は痛みに対する認知や行動にあてたセッション、ストレスマネジメントのセッション、およびマインドフルネス認知療法の技法を用いたセッションを対象者の状態像に合わせて実施する柔軟性の高いプログラムを作成した。また、測定指標としては、本谷他(2015)、Wong et al(2015)、金他(2015)などの先行研究をもとに、主観的評価として疼痛症状(罹患期間、強度、頻度)、心理社会的指標(破局的思考、恐怖回避、生活障害、マインドフルネス、ソーシャルサポート、生活環境)、家族間葛藤や援助の項目などを設定した。客観的評価としてはNIRS(近赤外線スペクトロスコピー)を用い、そのデータ解析方法として、加藤(2006)、Oka et al(2015)などが報告する脳酸素交換マッピング(COE)に基づき行い、酸素化ヘモグロビン濃度の変化量(ΔO)と脱酸素化ヘモグロビン濃度の変化量(ΔD)から算出される脳組織の単位体積あたりに含まれる脳血流量の変化量(ΔCBV)と脳酸素交換量(ΔCOE)で検討することとした。そして、COEに基づくNIRSデータの整理、解析、および解釈に関する知識や技術を専門家から習得し、トレーニングした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知行動療法プログラムと測定指標の整備の過程で、新たな研究成果の報告があり、その内容を踏まえた実施手続きへと改訂する必要があったこと、およびデータ解析方法を検討する過程で計画案以上に効果的な手法の情報を取得し、その手法の確認と技術習得を専門家から行う必要があったことでプログラム開始に至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した認知行動療法プログラムの効果を質問紙法による主観的評価とNIRSによる客観的評価の両面から検証する。また、対照群における時間経過と主観的評価、および客観的評価の関連について明らかにし、認知行動療法未介入時における疼痛患者の一般的に認められる脳機能変化の特徴を明らかにし、認知行動療法介入時にみられる脳機能変化が、介入によるものか、他の交絡要因によるものかの検討が可能な情報取集を行う。そのために、NIRSを用いてCOEに基づき脳機能を検討する際に、健常群では時間変化や心理的評価とどのような脳機能パターンを示しているのかについて、文献やpilot studyを用いて明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年度予算内に、調査材料、データ保存用媒体などのプログラム準備にかかる費用、謝金などプログラム実施にかかる費用、およびデータ解析(データ解析保存用媒体や解析ソフト)、成果公表費(学会発表、論文投稿料など)などを計上していたが、認知行動療法プログラムの開始に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査材料の購入、資料・マニュアル作成、謝金として支出する。また、研究成果の公表として国内外での学会発表にかかる旅費、参加費、および学術雑誌への投稿料、掲載料として支出する。 研究実施にあたり、対象者、プログラム内容、データ解析に関しては、専門家からの指導、助言をいただく場合もあるため、専門的知識の提供としても使用する。
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