2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛に対する認知行動療法の治療効果と反応予測因子の検討
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15K17298
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
本谷 亮 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (20584189)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 心理療法 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に作成した症状維持モデルに基づく認知行動療法プログラムの患者用、治療者用マニュアルを作成し、専門家による臨床的妥当性と現実的な臨床応用の可能性を検証した。その研究の一環として、本治療プログラムの基盤となっている疼痛の症状維持モデルに基づく治療が実際の医療現場でどの程度認識、あるいは実践されているか、および認知行動療法プログラム実践上の課題の把握を目的とした調査を実施した。その結果、全国の慢性疼痛治療に携わる232施設(病院、クリニック)・科(整形外科、リハビリテーション科、麻酔科など)からの回答が得られ、症状維持モデルに基づく認知行動療法の認知度は約30%(内、「よく知っている」は約9%)であった。また、実臨床での実践度は、約8%(内、「よく実践している」は4%)であった。一方、実践上の課題として、セルフケアに関するパンフレットの必要性、職種による役割分担、フローチャートなどの導入があげられた。そのため、本プログラムにおいても、プログラム前後、およびプログラム後に対象者自身の実践できるガイドブックを作成した。そして、本プログラムが臨床現場で機能的な運用が図れるように、本プログラム導入におけるスクリーニング基準を検討した。本年度の研究結果は、本プログラムが単にハード面のみではなく、ソフト面においても有益な効果を長期的にもたらすことに対する保証の観点からも意義が大きいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作成した治療プログラムの臨床応用可能性を検討した結果、現場のニーズに伴う改善が求められたため、追加の調査研究を行う必要性が生じた。また、その調査結果をふまえ、治療プログラムに使用する資料(例:患者用・治療者用マニュアル、患者向けガイドブック)を作成する必要があった。加えて、研究代表者の所属変更に伴い、想定していた研究対象者の募集先が変更となった。以上の要因から、プログラム開始に至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
追加で作成した資料一式(例:患者用・治療者用マニュアル、患者向けガイドブック)を使用し、作成した治療プログラムを実施するとともに、その治療プログラムの効果を検証する。効果の検証は、当初の予定通り、質問紙法による主観的評価とNIRSによる客観的評価の両面から検証するとともに、プログラム導入群と対照群とで、その内容を比較する。
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Causes of Carryover |
平成28年度予算内に、調査材料などプログラム準備にかかる費用、謝金などのプログラム実施にかかる費用、データ解析(データ保存用媒体や解析ソフト、専門的知識の提供による知識・技術の習得)にかかる費用、および成果公表費(論文投稿料など)を計上していたが、プログラムの開始に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査材料の購入、プログラム資料・マニュアル(患者用、治療者用)・患者用ガイドライン(パンフレット)、謝金として支出する。また、研究成果の公表として、国内外での学会発表にかかる旅費、参加費、および学術雑誌への投稿料、掲載料に支出する。 本プログラムの臨床応用可能性に向けた示唆、およびデータ解析に関しては、専門家からの指導、助言をいただく場合もあるため、専門家知識の提供としても使用する。
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