2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛に対する認知行動療法の治療効果と反応予測因子の検討
Project/Area Number |
15K17298
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
本谷 亮 北海道医療大学, 心理科学部, 准教授 (20584189)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 慢性疼痛 / 心理療法 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、本邦で実施されている慢性疼痛に対する認知行動療法の内容と効果について系統的レビューを実施した。目的は、現在、進めているプログラムの結果と比較し、費用対効果を検証するとともに、本邦での現実的な実施形態について検討するためである。2000年以降の国内外の学術雑誌を対象として、本邦で実施された慢性疼痛に対する認知行動療法の介入論文を調査した。主な検索エンジンとして、邦文誌は、“医中誌”と“CiNii”、欧文誌では、“MEDLINE”と“PsyInfo”を用い、慢性疼痛と認知行動療法(認知療法、行動療法)を検索用語とし、主目的が疼痛治療である論文を調べた結果、26論文が抽出された。従来、報告されているメタ分析の結果と同様に症状やQOL、心理社会的要因で一定の改善を認める一方で、フォローアップ情報は乏しい結果であった。うち13論文が症例研究であるほか、対象者数が10人未満の研究が多く、十分なエビデンスの算出には課題が残る結果であった。また、約半数が集団か入院中の集中プログラムであり、心理教育やリラクセーション法を中心とした内容であることが明らかとなった。以上の結果は、本プログラムの費用対効果の検証における基準となるほか、実施形態に関する有益な情報であり意義が大きい。加えて、本プログラムは慢性疼痛者を対象としているが、NIRSを用いた適切な健常データの必要性を受けて、健常データ収集のプロトコルと実施計画を作成した。平成30年度中に実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定していた研究対象者の募集先が変更となり、募集方法の変更や倫理的手続きを見直す必要が生じたため。また、脳機能測定機器(NIRS)の使用環境の整備に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
下記3点の研究を実施予定である。(1)作成した治療プログラムを慢性疼痛者に実施し、その効果を検証する。(2)NIRSを用いて、健常データの収集を行う。(3)治療プログラムの費用対効果、および臨床応用妥当性を検証し、本プログラムを本邦で実施する際の具体的方法、慢性疼痛患者のアセスメント、治療判定に有用な評価指標のバッテリー案を検討、提案する。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度予算内にプログラム実施にかかる諸経費、謝金、データ解析にかかる費用、および成果公表にかかる諸費用を計上していたが、プログラム遂行の遅延が生じたため。 (使用計画) 調査材料の購入や印刷にかかる費用、および謝金として支出する。また、適切なデータ解析の実行にあたり必要な解析ソフトの購入、専門的知識の提供による知識・技術の習得にかかる費用として使用する。研究結果の公表に対しては、学会発表等の旅費、参加費、および学術雑誌への投稿料、掲載料、ならびに専門家知識の提供(総合考察を行う上での専門家からの指導、助言)として支出予定である。
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