2016 Fiscal Year Research-status Report
睡眠状態誤認に対する新しい認知行動療法の有効性の検討とその作用機序の解明
Project/Area Number |
15K17307
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
中島 俊 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (10617971)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 認知行動療法 / 不眠障害 / 睡眠障害 / 行動医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性不眠症の特徴である睡眠状態誤認(客観的には睡眠の問題がないものの、主観的には重度の不眠を訴えるもの)の心理的背景の解明と睡眠状態誤認を有する不眠症に対する有効な心理的治療の確立を目的とした研究である。研究の第一段階として睡眠状態誤認と関連の強い睡眠に関する不安を測定する心理尺度の開発を行う。第二段階では、睡眠状態誤認を有する不眠症患者の心理学的背景を睡眠に関する不安と中核に検討する。第三段階として睡眠状態誤認に対する新規認知行動療法の有効性および安全性、臨床心理学的作用機序の解明を目指す。 現在までの研究実績としては当初の予定通り、第一段階である睡眠状態誤認と関連の強い睡眠に関する不安を測定する心理尺度(日本語版Anxiety and Preoccupation about sleep Questionnaire: APSQ)の開発および妥当性と信頼性の検討を行ったところ、日本語版APSQは高い妥当性と信頼性を有する尺度であることが示されたため、第41回睡眠学会定期学術集会で発表を行った。 加えて、作成した日本語版APSQを用いて不眠症患者の不眠症状の重症化に寄与する要因の検討を行い、日本語版APSQで測定される睡眠に関する不安が他の睡眠に関連する心理学的要因と比べ、最も不眠症状を予測することが示されたため、その成果を同じく第41回睡眠学会定期学術集会で発表を行った。 また、睡眠状態誤認患者の多くが精神疾患の既往歴がみられることから、不眠症状および睡眠に関する心理学的要因とうつ症状の関連に関する研究を行い、その成果が海外学術誌(Sleep Medicine)に採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属が次年度より変わるため、それに伴い現在進行中の臨床研究の縮小と計画の変更が必要になったため、当初の研究計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度より新しい所属先で研究を遂行するにあたり、臨床研究を行う研究実施施設の確保が急務となる。この課題については、すでに新規の研究協力機関および研究協力者から研究の承諾を得ているため、倫理委員会への研究計画の変更または新規申請を速やかに行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究計画からやや遅れており、それに伴い物品の購入代金や人件費が予定より発生しなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れた分の研究を遂行する際に使用予定である。
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Research Products
(3 results)