2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者のセルフケア行動促進を目的とした心理学的介入プログラムの開発
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15K17312
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
佐々木 美保 比治山大学, 現代文化学部, 講師 (50735933)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心理的介入 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者のセルフケア行動促進のためには,認知行動的アプローチによる主要構成要素を含めた介入を行うことが有効であるとこれまでの先行研究で示されてきた。しかしながら,糖尿病患者数は増加の一途を辿っており,患者の日常生活においてセルフケア行動が十分に遂行されていない現状が依然としてある。こうした背景には,糖尿病罹患に伴う患者の精神的負担や感情調整が必要であること,糖尿病患者はうつ病や不安症の合併率が高いことが指摘されていた。そこで申請者は糖尿病患者の抑うつ・不安,治療負担感など,患者が糖尿病やその治療に対して抱くネガティブな感情がセルフケア行動の遂行を阻害することを明らかにするとともに,そうした阻害要因を改善することのできる介入研究を行うことを目的とした実証的な研究を行うこととした。 本年度はアセスメントツールの開発を行った。地域で自活している20代~60代の成人を対象にセルフケア行動を阻害させる患者の考え方(認知)を自由記述で回答を求めた。その結果,健康的な食事(食事療法)に対しては「明日からすればいい」といった回避的な認知や「おいしい物を食べたい」「その時の思いのままに食べたい」などの食欲に対する肯定的認知が抽出された。また健康的な運動(運動療法)に対しては,「運動する時間がない」「きっかけがない」などの先行刺激の枯渇,「息が切れるのが辛い」「通勤ラッシュがいや」などの行動遂行後の嫌悪状態からの回避,「すぐ結果が出ない」などの長期的結果への諦めなどが抽出された。しかしながら,有効回答者数が少なく,今後更に調査対象者を増やして尺度の精緻化を図る必要があると考えられる。また,調査フィールドの確保が依然として問題であり,今年度はWeb調査等を考慮し,調査の迅速かつ効率的な実施についても検討していく必要があり,課題であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査フィールドの確保が依然として問題であり,十分な調査人数に達していない。次年度はWeb調査等を考慮し,調査の迅速かつ効率的な実施についても検討していく必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した調査項目を基に尺度開発を継続して進め,調査研究を早急に実施する。そのうえで明らかになった認知面を改善することのできる介入プログラムの開発を行うこととする。
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Causes of Carryover |
人件費が必要なほどの大規模調査とならなかったため,人件費が繰り越されている。また十分な発表を行えるまでの成果となっていないため,成果発表のための学会参加を見送っているため旅費が残っているためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集をWeb上で実施することを計画しているため,これまで使用していない人件費をそちらに使用する予定である。
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