2016 Fiscal Year Research-status Report
難病患者・家族のQOLに関するフィードバック面接の試み
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15K17316
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Research Institution | Kyushu Lutheran College |
Principal Investigator |
石坂 昌子 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 講師 (70644821)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 難病 / QOL / 家族支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度では、前年度に引き続き、(1)難病患者のQOL(Quality of Life)の実態把握:SEIQoL-DW(O'Boyle et al,1995)1~3回実施、(2)難病患者のQOLに関する患者自身と家族による評価の比較検討を進めた。また、(3)難病患者・家族へのフィードバック面接の準備をふまえて、当初の計画通り(4)難病患者・家族へのフィードバック面接を実施した。加えて、計画には含まれていなかったが、難病患者のQOLの独自性をより明確にするために、他の疾患患者についても(1)~(4)を実施した。 その結果、フィードバック面接を通して、難病患者にとっては、家族による評価を聴いて刺激となり新たなキューが産出され、自己理解の機会となることが考えられた。また,家族にとっては、患者のQOLや家族自身のすべきこと・できることの理解、気持ちの整理、振り返りの機会となることが示唆された。つまり、QOLに関する患者自身と家族による評価の比較検討をふまえたフィードバック面接は、難病患者の自己理解、家族との相互理解及びコミュニケーションを促進する可能性が推測された。なお、4月に熊本地震が生じ、その影響がSEIQoL-DWの結果に反映されている対象者もおり、環境要因も含めて検討していく必要性が挙げられた。 また、前年度、日程が合わず参加できなかった研修会や国内・国際学会に参加し、医療現場におけるQOL評価の新しい実践を学んだり、緩和ケアや喪失体験の最新知見の情報収集を行ったりした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4月の熊本地震によって、調査・面接のキャンセルが続いたため、時期を考慮しながら患者・家族会や難病医療センター、難病の会報誌を通して募集を依頼したが、対象者確保に遅れが生じた。 また、この研究の遅れに伴い、平成28年度に実施予定であった難病患者・家族へのフィードバック面接の内容検討や学会発表を実施できなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成29年度は、事例を蓄積しつつ、難病患者・家族へのフィードバック面接の内容・有効性の検討、難病患者と他の疾患患者との比較、学会発表及び論文作成・投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
平成28年度では、熊本地震により対象者確保が困難となり、調査・面接の実施に遅れが生じた。また、この研究の遅れに伴い、データ整理のための研究補助、専門家による難病患者・家族へのフィードバック面接の内容検討及び学会発表も実施できなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度では、心身の状態や症状、心理面への影響に十分配慮しながら、対象者を確保し事例の蓄積に努める。また、研究補助によるデータ整理、専門家によるフィードバック面接の内容・有効性の検討、学会発表及び論文作成・投稿も実施する予定である。
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