2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17325
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (30727087)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 行為 / 遅延 / タイミング / 空間位置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,行為とそれに伴う感覚結果の時間的間隔が知覚的にどのように補正されるのかについて,特に使用する装置や感覚情報の違いに着目して検討することを目的としている。 平成28年度は,主に行為に伴う感覚結果の空間的位置が,知覚されるタイミングに及ぼす影響について検討を行った。具体的には,画面上のターゲットに対して行為をおこなった後,遅延時間を挟んで呈示される感覚刺激の偏心度を操作し,遅延時間の評価に及ぼす影響を調べた。また物理的に行為をおこなう対象やその位置の重要性についても同時に調べるため,マウスやタッチパネルディスプレイなど,複数の入力装置を用いて影響の比較を行った。その結果,入力装置による違いは見られなかったが,画面上の行為ターゲットの位置と刺激出現位置との空間的隔たりによって知覚タイミングが変化することを確認した。この成果については,国内で開催された研究会で発表された。またこの結果から,特定の入力装置を用いた刺激操作の経験が,知覚タイミングの変化に影響する可能性が示唆されたため,これを踏まえて新たな実験計画の立案と実験準備をおこなった。この研究については,共同研究者によって先行研究の調査や予備的な実験も既に進められており,すぐにデータの収集に取りかかれる状況にある。今後は,今年度の研究で示された空間的位置の影響について更に実験を積み重ねると共に,経験による影響に関しても実験を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は研究代表者の異動に伴い研究機関が再びの変更となり,実験環境を再度整備し直す必要が生じたが,前年度から準備を進めていた実験については十分に検討することができ,また経験による影響を調べるという新たな研究の方向性も見出すことができた。当初の計画にはまだ遅れがあるものの,目標に近づきつつあることから,おおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究成果を国内外の学会等で発表するとともに,英語論文としてまとめて国際誌に投稿をおこない,外部への成果の公表を進める。また28年度に得られた結果を踏まえて,新たに経験による影響に関する実験を実施するとともに,当初計画をしていた順応を用いた実験を並行して準備・実施し,総合的に検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
度重なる研究機関の異動に伴い,実験の遂行に遅れが生じ,発表する予定であった国際学会に登録が間に合わず参加することができなかった。そのため,成果発表旅費にかかる費用が予定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度得られた成果については,次年度の国内外の学会で発表をおこない,英語論文としてまとめる予定であり,それらに係る旅費や英文校正費などの経費に充てる。
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