2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17325
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (30727087)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 行為 / 感覚フィードバック / 学習 / 空間的近接 / 主体感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,行為とそれに伴う感覚結果の時間的間隔が知覚的にどのように補正されるのかについて,特に使用する装置や感覚情報の違いに着目して検討することを目的としている。本年度は,主に以下の内容について検討を行った。 ①特定の入力装置を用いた刺激操作経験が,行為と結果の時間間隔の知覚に及ぼす影響について実験的に検討した。刺激がレバーを倒した向きと同方向に動く経験を事前に学習した群では,レバーを倒したときに刺激が同方向に動く条件の方が,反対方向に動く条件よりも時間間隔が有意に短く評価された。一方で,刺激がレバーと反対方向に動く経験を事前に学習した群では,時間間隔の評価に有意な差は見られなかった。これらの結果から,行為と結果の時間間隔の知覚に,経験に基づく空間的な対応関係の予測が関わることを明らかにした。 ②前年度に示された空間的近接性の影響について,Libet clockパラダイムを用いて行為と感覚結果の知覚的タイミングを測定したところ,偏心度条件間で有意な差が示されなかった。このことから,持続時間の判断の場合にのみ空間的近接性の影響が生じることが示唆された。ただし刺激の呈示方法の違いが影響した可能性も考えられるため,今後は呈示方法を揃えて再検討を行う予定である。 ③自発的行為に伴う主観的時間の変容に関して,過去10年の動向をまとめたレビュー論文や最新の実証的研究などの文献を紹介し,行為主体感との関係性について議論した(山本, 2017)。 ④行為の種類が時間間隔の判断に及ぼす影響について,行為とフィードバック時の感覚情報変化の一貫性が寄与しているという仮説を立て,先行研究を整理し実験計画を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間中に生じた研究機関の異動により,実験環境の再整備や新たな機関での業務への対応に時間がかかり,当初の計画に比べて遅れが生じてしまった。計画していた研究を完了させるために事業期間延長を申請し承認が得られたため,この期間を利用して残された研究の実施と成果の公表を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に実験・計画を行った研究を引き続き推進するとともに,実施が遅れていた順応を用いた時間的再較正に関する実験を遂行する。また前年度までに得られた研究成果を取りまとめて国内外の学会等で発表し,一部を査読付きの国際誌に投稿するなどして成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
(理由)研究期間中に生じた研究機関の異動による実験の遅れから,実験準備・実施に係る費用に計画とのずれが生じてしまった。また同様の理由で発表を予定していた学会への参加を見送ったこと,海外の国際学会で発表する予定であった内容を国内で開催された国際学会で発表することができたことなどから,旅費として計上していた予算に残額が生じた。 (使用計画)実施が遅れていた実験の遂行と,参加できなかった国内外の学会で成果を発表する費用として使用することを予定している。また成果を英語論文にまとめて投稿するための英文校正費や,掲載のための費用としても使用する予定である。
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