2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K17331
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
西村 聡生 安田女子大学, その他部局等, 講師 (60533809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 行為と認知 / 個人間相互作用 / 実験心理学 / 認知心理学 / 共同表象 / 自己と他者 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の2研究を行い、自他の行動と刺激との連合の形成に関する研究成果を得た。 1.他者の行動履歴も、自身の刺激-反応特徴連合と同様に表象され、自身の後続反応に影響するか検討した。個人間の行動履歴の影響について、事前に自身が同じボタンを押した場合、共同で実験に参加している他者が押した場合、誰も押していない場合を、刺激特徴の反復の観点から比較した。自身は反応していないという点においては全く同じ条件であったにもかかわらず、誰も反応していなかった場合には形態の反復による反応の促進がみられたが、他者が直前に反応していた場合には反応は遅延した。他者の行動履歴は刺激特徴と連合して表象され、自身の課題表象における刺激―反応連合に干渉することが示唆された。本研究成果を日本心理学会大会で発表した。 2.個人内での刺激―反応連合における入力モダリティおよび出力効果器に関する空間表象の特異性について、標的刺激の位置に基づき判断する空間課題と位置を無視して判断する非空間課題(サイモン課題)が混在しているときの、サイモン課題への空間課題による干渉の観点から検討した。入力モダリティに関して、視覚サイモン課題は位置に基づく視覚課題および聴覚課題の混在に同じように強く影響されたが、聴覚サイモン課題では位置に基づく視覚課題の影響は聴覚課題よりもはるかに弱かった。視聴覚における空間表象の非対称な相互作用および行動への影響がみられた。出力効果器に関して、片方の課題は左右の手でのボタン押し、もう片方の課題は左右の足によるボタン押しとした場合でも、位置に基づく課題によるサイモン課題への影響が生じた。刺激―反応連合は、効果器のレベルではなく、ある程度抽象的な空間レベルに基づき表象されていることが示唆された。本研究成果を日本心理学会大会およびPsychonomic Society Annual Meetingで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自他の行動と刺激との連合の形成に関する複数の実験を実施し、データを蓄積しつつある。予定どおり国内外の学会で研究成果を発表し、フィードバックを得た。現在、本研究課題の成果をまとめた最初の論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき、引き続き自他の行動と刺激との連合の形成とそれによる後続の行動への影響を総合的に明らかにするための研究を実施し、研究成果を随時、国内外の学会で発表する。研究に関するデータも多く得られてきているので、今後は論文の執筆と投稿にもいっそう注力していく。
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Causes of Carryover |
研究の進展上、次年度の知覚実験で専門のPCおよびディスプレイを準備するため、一部を持ち越した。また、研究展開から論文執筆よりもデータ収集を優先したため、英文校閲費用を年度内に使わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由で述べたように、知覚実験のための専用PCおよびディスプレイの購入と、英文校閲・投稿関連費用を中心に、次年度に持ち越して使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)