2015 Fiscal Year Research-status Report
fMRIを用いたワーキングメモリの加齢変化に影響を与える生理的要因の特定
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15K17335
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
國見 充展 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (70460384)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | fMRI / MEG / 電流源推定 / ワーキングメモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
脳イメージングによる生理的観測変数から高齢者のワーキングメモリを予測するモデルを作成することを目的とし研究を進めた。空間分解能に優れるfunctional magnetic resonance imaging(fMRI)のデータに時間分解能に優れるMagnetoencephalography(MEG)を加えてより神経情報伝達を捕えることを試みた。 本年度は加齢研究に先立ち,若年者を対象とし,fMRIとMEGによる短期記憶課題遂行時の脳情報伝達を捕える手法およびその解析法の確立を行った。視覚的ワーキングメモリを求めるChange detection paradigmを課題として用い,セットサイズとラテラリティの効果を調べた。また,再現性の検証のため,実験を二度行い(別日),二セットのデータを得た。 VBMEG(Sato et al., 2004)を用いた信号源推定の結果,両日データともセットサイズの効果,ラテラリティの効果が頭頂―後頭領域(IPS, IOS [BA] 7, 19, 39, 40) で見られた。得られた電流データを用いた重回帰分析によって,視覚的ワーキングメモリの処理モデルの作成を行った。その結果,右側のBA7,左側のBA19,両側のBA40によって課題成績が高い精度で予測できた。今後は聴覚刺激を用いて同様の実験を行い,モダリティ間の比較を行う。なお,いくつかの先行研究では,MEGの電流源推定の際,fMRIデータはその推定制度を向上させるとの報告があるが,本研究の結果から,必ずしもfMRIがMEGの電流源推定の精度を向上させるわけではなく,高次認知/知覚機能を要求する課題においては適さない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担当研究員の異動により使用機器,実施場所の変更があったが,研究の遂行上の変更はなく概ね順調に行われている。特に,研究の目的である「生理指標によるワーキングメモリの予測」は,時間分解能に優れるMEGを利用した方がより妥当性が高まると判断された。MEGの利用は当初の研究計画には含まれていなかったが,担当研究員の異動によって可能になった。本研究ではfMRIに加えMEGを中心に使用することとする。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は若年者における視覚的ワーキングメモリの予測モデルを作成し,その実験法,解析法のブラッシュアップを行った。28年度は聴覚刺激で同様の実験を行ったのち,高齢者でのモデル作成し,ワーキングメモリの加齢メカニズムの解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
研究を進めるうえで必要な物品の購入時期がずれた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画に基づき購入を進める。
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