2015 Fiscal Year Research-status Report
学級規模縮小政策の法制的・財政的研究 -日米比較を中心に-
Project/Area Number |
15K17337
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
星野 真澄 筑波大学, 人間系, 特任助教 (00740119)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学級規模縮小 / アメリカ / 法制度 / 教育財政 / 日米比較研究 / 教員の職能開発 / 少人数教育 / 教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多額の予算を要する学級規模縮小資金を如何に確保し、少人数教育の効果を最大限に引き出せるような学級規模縮小プログラムを継続的に実施するか、その制度的条件を明らかにすることである。具体的には、以下3つの研究課題を設定して研究を進めている。①学級規模縮小資金の運用実態の解明、②学級規模縮小と同時に求められた教員の職能開発の探究、③学級規模縮小政策の日米比較研究である。
本研究の1年目である平成27年度は、4月と9月に渡米調査(ウィスコンシン州、イリノイ州、カリフォルニア州、ワシントン州)を実施した。州教育省では学級規模縮小の継続的実施状況・実施結果および学級規模縮小の財源についてインタビュー調査を行い、学区教育委員会では教員の職能開発についてインタビュー調査を実施した。また学校現場では小学校低学年の20名程度のクラスを訪問し、授業観察を行った後、校長・教員へのインタビュー調査を実施した。4月にイリノイ州シカゴで開催された全米教育学会(AERA)の年次大会では本研究課題について米国の研究者と情報交換を行うことができた。 今年度の後半には、これら2回にわたる渡米調査の成果を踏まえて、以下、主として2点を中心に研究を進めた。1点目は米国諸州の学級規模縮小に関する規定の整理である。2点目は学級規模縮小と同時に求められた教員の職能開発の探究として、ウィスコンシン州のSAGEプログラムの分析を行った。 2015年11月には研究代表者である星野真澄の単著『アメリカの学級規模縮小政策』が多賀出版より刊行されたことに伴い、今後、本研究課題で掲げた日米の比較研究を通じて、少人数教育の効果を最大限に引き出せるような学級規模縮小プログラムの制度的条件を明らかにする必要性が高まってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度に2度の渡米調査を実施できたことは、当初の計画以上の進展であった。とくに今年度は、学級規模縮小の財政的分析に係る資料収集だけではなく、法制的分析に係る資料も同時並行して収集することができている。また文献収集のみならず、米国研究者と情報交換できたことは、次年度以降の調査研究を進展させるためにも良いスタートであった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も引き続き渡米調査を行い、州教育省・学区教育委員会でのインタビュー調査、学校現場での授業観察、米国研究者との情報交換等を行いながら、学級規模縮小政策の法制的・財政的分析を深めていく予定である。その際、「学級規模縮小資金の連邦・州・学区・学校間の運用実態の解明」と「学級規模縮小と同時に求められた教員の職能開発の探究」を同時並行して資料収集・分析を行う。
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