2016 Fiscal Year Research-status Report
学級規模縮小政策の法制的・財政的研究 -日米比較を中心に-
Project/Area Number |
15K17337
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
星野 真澄 筑波大学, 人間系, 特任助教 (00740119)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学級規模 / 教育財政 / 教員の職能開発 / フロリダ州 / ウィスコンシン州 / 少人数教育 / アメリカ / 教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多額の予算を要する学級規模縮小資金を如何に確保し、少人数教育の効果を最大限に引き出せるような学級規模縮小プログラムを如何に継続的に実施するか、その制度的条件を明らかにすることである。具体的には、以下3つの研究課題を設定して研究を進めている。1点目は学級規模縮小資金の運用実態の解明、2点目は学級規模縮小と同時に求められた教員の職能開発の探究、3点目は学級規模縮小政策の日米比較研究である。
本研究の2年目である平成28年度は、4月と9月に渡米調査(ニューヨーク州、マサチューセッツ州、ワシントンD.C.、イリノイ州、ウィスコンシン州、ニュージャージー州)を実施した。 その成果は2本の研究論文(査読付)にまとめた。1本目は、フロリダ州の学級規模縮小の財政的仕組みについてであり、2本目は、ウィスコンシン州の学級規模縮小と同時に求められた教員の職能開発についてである。1本目の論文では、多額の予算を要する学級規模縮小資金の財源を如何に確保したか探る中で、フロリダ州では州憲法において学級編制の上限人数を定め、この人数まで学級規模を縮小するための資金は、学区ではなく州が負担することを明記していることを明らかにした。2本目の論文では、学級規模縮小クラスにおける効果的な教授学習モデルとして示された指導方法は、明示的指導と経験的指導を両方用いて、まずは基礎・基本を教えることを優先し、その後に補足的役割として、問題解決やハンズ・オン活動等の経験的指導を取り入れることで発展的学習をスムーズにさせる方針で実施していることを明らかにした。 また今年度は、星野真澄の単著『アメリカの学級規模縮小政策(多賀出版)』がアメリカ教育学会賞を受賞(2016年10月)し、2017年3月にはアメリカ教育学会教育セミナーにて、本研究課題の成果を含めた報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に引き続き、平成28年度においても2度の渡米調査を実施することができ、当初の計画以上の進展であった。とくに今年度は、フロリダ州の学級規模縮小の財政的仕組みを明らかにした論文と、ウィスコンシン州の学級規模縮小と同時に求められた教員の職能開発を分析した論文、合計2本の研究論文(査読付)を刊行することができた点からも計画以上の進展といえる。 また今年度は、アメリカ教育学会において『アメリカの学級規模縮小政策』に関する教育セミナーを開催し、本研究課題に関する意見交換を行っており、これについても当初の計画以上の成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度も引き続き渡米調査を実施し、米国研究者との情報交換等を行いながら、学級規模縮小政策の法制的・財政的分析を深めて成果発表を行う予定である。とくに最終年度には、研究課題の3点目に掲げた学級規模縮小政策の日米比較に重点を置きながら研究をまとめる。
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