2015 Fiscal Year Research-status Report
旧ソ連中央アジアにおける理論と実践を通した域内連携と比較社会教育学の構築
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15K17344
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河野 明日香 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10534026)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会教育 / 中央アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、研究の視点と方法、枠組みの明確化を行った。まず、ヨーロッパ、特にスウェーデンやフィンランド、デンマーク、ドイツなどにおけるSocial Pedagogyについての歴史や現在に関する文献を整理し、その特徴や現在の状況についての考察を行った。同時に、中央アジア諸国における社会教育概念、理論、実践における社会教育観の定義や整理を行った。ロシアなどでは、ヨーロッパにおけるSocial Pedagogyの影響が見受けられる点があるが、Social Pedagogyがソ連期を経て旧ソ連・中央アジアまで影響を及ぼしているかについては、今後さらなる検討が必要である。 また、現地調査について、中央アジア諸国に関しては、資料収集とインタビューなどを行い、ヨーロッパのSocial Pedagogyの中央アジアにおけるインパクトや現地の社会教育、生涯学習の現況についての考察を行った。さらに、ヨーロッパの複数国(スウェーデン、フィンランドなど)におけるSocial Pedagogyの研究者らに対する聞き取り調査を行った。具体的には、スウェーデンのSocial Pedagogy研究者に聞き取り調査を行い、スウェーデンや北欧諸国におけるSocial Pedagogyの動向や今後の展望について話を聞くとともに、Social Pedagogyについての研究ネットワークの紹介などもいただいた。また、フィンランドでは、Social Pedagogyに関連するコミュニティ施設の視察を行い、同施設の実践についての検討を行った。フィンランドでは、関連領域の研究者との研究交流も行った。 以上、平成27年度は文献収集や整理、現地での調査を通し、ヨーロッパのSocial Pedagogyが中央アジア諸国の社会教育や生涯学習にどのようなインパクトを与えているのかの可能性について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な資料などが概ね集まりつつあり、また聞き取り調査も実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の調査結果および選出した調査対象機関を踏まえ、中央アジアおよびヨーロッパの社会・成人教育機関への聞き取り調査を行う。ウズベキスタンなどでは地域共同体が社会教育実施の役目を請け負っているため、地域共同体の運営委員会への聞き取り調査等を実施する。その他、ヨーロッパ諸国における成人教育機関についての調査も行う予定である。
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Causes of Carryover |
他用務で参加した調査や国際学会の際に今年度必要な聞き取り調査を実施することができたため、当該年度の費用は次年度に繰り越し、より充実した調査を行うことを目指すため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は中央アジアを中心に調査を行う予定である。可能であれば、年2回程度のウズベキスタンを中心とした調査を計画しており、次年度繰り越し分はこの旅費に当てる予定である。
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