2016 Fiscal Year Research-status Report
unlearn概念を介した人種主義に抗う教育実践に関する基礎的研究
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15K17350
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
酒井 佑輔 鹿児島大学, かごしまCOCセンター, 講師 (30632591)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | unlearn / 人種主義 / 在留外国人 / 外国人技能実習生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、本科研の最終年度に予定している「unlearn概念を介したマイノリティ排除や人種差別に抗う社会人向け公開講座を実施し、その実践的可能性を検討する」ことを念頭に置き、主にマイノリティ排除や人種差別に抗う教育理論の文献研究を継続しておこなった。また、本年度から鹿児島県の人種主義に関する基礎的調査も開始した。具体的には、県内で近年急激に増えている在留外国人(特に外国人技能実習生)の現状と鹿児島県が多く輩出してきた移民に対する人種主義・人種差別ついて把握するため、ヒアリング調査と地元新聞等の資料収集を中心にすすめた。本調査結果の一部は、2016年9月にアマゾナス連邦大学で開催された国際学会で発表した。国内では『かごしま生涯学習研究』に論文として投稿し掲載される予定である。 また、最終年度の公開講座に向けて、人種主義に関する問題意識の共有や、それを踏まえた人的ネットワークの形成が喫緊の課題であると考え、在留外国人の現状を把握するためのワークショップも開催した。ワークショップには鹿児島県内のNPOや市民団体、学生、企業、研究者、自治体関係者ら計30名以上が集まり、活発な意見交換がおこなわれた。 また、以上の研究と2015年度から継続して取り組んでいる鹿児島大学共通教育授業「鹿児島から考える多文化共生(Unlearning Multicultural Societies in Kagoshima)」の教育実践を踏まえ、2017年度に社会人向けに開講する授業「人種主義(レイシズム)を考える(Unlearning Racism)」の準備もすすめた。これらの研究と教育実践の往還を通じて、最終年度の公開講座の準備を着実におこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度の社会人向け公開講座実施に向けた、①unlearnに関する理論研究と鹿児島県内の人種主義に関する調査、②それらの研究成果の論文化(『かごしま生涯学習研究』に掲載予定)、③調査結果を踏まえた学部生向けの教育実践の展開の3点は一定程度評価できる。ただし、当初計画していた海外(特にインド)での人種差別に抗う教育実践に関する現地調査が次年度へと延期になったため、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究のための文献調査と鹿児島県内での調査、最終年度に向けた公開講座実施の準備は十分にできている。したがって、インドと北米での調査を優先的に実施することが今後の一番の課題である。そのためには、(1)国外研究者らとの調整を今まで以上により丁寧に進めること、(2)長期休暇期間中に出張するための時間を確実に確保すること、の2点が今後の大きな課題となる。
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Causes of Carryover |
長期休暇期間中に北米並びにインドでの調査を実施することができなかったため、次年度へと繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
北米並びにインドの研究者らとは現在調整中であるものの、長期休暇期間に限定することなく本学の大学祭等の期間等も念頭に置いたうえで、海外での現地調査を確実に実施する。
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[Presentation] アマゾンの開発と日本人移民~パラ州トメアスーのアグロフォレストリー農法における教育~2016
Author(s)
酒井佑輔
Organizer
XI Congresso Internacional de Estudos Japoneses no Brasil / XXIV Encontro Nacional de Professores Universitarios de Lingua, Literatura e Cultura Japonesa
Place of Presentation
マナウス(ブラジル連邦共和国)
Year and Date
2016-09-22 – 2016-09-22
Int'l Joint Research / Invited