2019 Fiscal Year Annual Research Report
Lived time of 3-year-old children in early childhood education and care: Reconsidering continuity of life and development
Project/Area Number |
15K17356
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
横井 紘子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60557784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保育 / 3歳児 / 現象学的研究 / 生きられた時間 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、保育実践に基づき、3歳児の主観的時間である「生きられた時間(時間性)」を現象学的に探ることを通し、3歳児を中心とした生活や発達の連続性を問い直すことを目的としている。 最終年度では、3歳児と5歳児のごっこ遊びにおける役割分担について時間性から考察した。本研究で取りあげた5歳児は、自分の行っていることと同時に、仲間の行っていることも同時に生きるといった共時的な感覚を持っているようだった。こうした子どもたちは、単に全体の一部として自分の役割を捉え、遂行する場合とは異なるあり方をしている。 一方、3歳児は、共時的な感覚はあるもの、仲間や遊びのテーマから強く制約を受けることなく、役割を遂行・移行し、そのつどの「いま」の充実の連続性を生きている姿が多く見られた。一方、仲間の存在から自分の役割が限定されることを感覚的に理解し、そこから逃れようとする姿もあった。 象徴機能や認知・言語の発達等だけではなく、過去(いままで)と未来(いまから)から、また、他者の存在や思いから、「いま」の自分がどれほど影響を受けるのか、という時間感覚の違いが、役割分担をともなう遊びにおける3歳児と5歳児の違いとして現われることが示唆された。 現象学的視点から保育実践研究を行うことの意義については、日本保育学会において「生きられた経験の意味を救いだす」というテーマでシンポジウムにおいて話題提供を行った。 実践への還元として研究会を最終年度の2月に計画していたが、新型コロナウイルスの影響で実施することができなかった。そのため、実践および社会への研究成果の還元として、研究期間全体を通じて得られた研究の成果を研究成果報告書として冊子としてまとめ、関係各所に配布することとした。
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