2018 Fiscal Year Annual Research Report
Historical research on post-world war ii teacher training curriculum
Project/Area Number |
15K17357
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
山崎 奈々絵 聖徳大学, 教職研究科, 准教授 (90598103)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 戦後日本教育史 / 教員養成 / 教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二次世界大戦後初期の教員養成カリキュラムの検討を通じて、歴史研究の立場から、教員養成をめぐる現代的課題に応えることである。具体的には、幼稚園から高等学校までの各段階の教員について、それぞれの養成方法や専門性をめぐる共通点・相違点を整理し、今後の教員養成のあり方を考える視点を提供することを目指す研究である。 こうした目的のもと、初年度から3年目までは主として養成教育を行う大学側の理念や実際のカリキュラムについてうかがえるような歴史資料を収集・分析し、研究成果を公表してきた。 これらをふまえて最終年度にあたる2018年度は、教員を志望する学生たちが大学の養成教育に何を期待し、何に不満を抱き、何をどのように実際に学んだのか、といったことに迫りうる史資料の収集にも、新たに着手した。学生側の視点から教員養成の実際を実証的に明らかにすることが、戦後教員養成の評価を定めるうえでは極めて重要だからである。 18年度に主に着目した国立4校・私立1校の事例から、学生側は、選択科目が少なく自主性が尊重されていない、教科教育法などを中心に学習指導要領解説などに力点が置かれる一方でゼミや卒業論文が軽視され、「大学らしい」学問の深まりはカリキュラム上ほとんど保証されていない、というように養成教育を批判的に捉えていたことが浮き彫りになった。こうした学生側の認識は、戦後初期の教員養成の限界や課題を示しているだけでなく、現代の教員養成の問題点にも通ずるものがあるだろう。 戦後の学生の実際の学びを歴史的に明らかにするような先行研究がほとんどないため、学生側の史資料の収集・分析は、本研究終了後も続けていく必要があるが、現段階で収集した資料については一部、「戦後初期の教職志望者の学びに関する資料集」としてまとめた。
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