2015 Fiscal Year Research-status Report
生涯学習社会における学校教育の役割に関する考察 -生涯学習国イタリアの事例から-
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15K17360
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
徳永 俊太 京都教育大学, 連合教職実践研究科, 准教授 (10582265)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生涯学習 / イタリア / 歴史教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はイタリアの歴史教育における教員養成に焦点をあて、研究を進めた。なぜイタリアの教員養成に焦点をあてたのかというと、イタリアの生涯学習社会において教師も子どもと同様に養成機関以外の場所で学ぶことが構想されてきたからである。日本教育方法学会においては、教育理論の変化に伴う教師の専門性の変化とそれに対応する教員養成システムの変化、そして生涯学習社会における学びの機会というテーマを設定し、研究成果の発表を行った。 発表した研究成果は以下の通りである。歴史科教員に求められる専門性の変化、特に学習者を中心とした歴史教育に対応できる力量が求められるに従い、民間教育研究団体や地域の行政機関と連携した団体などは、現職の教師が新たな専門性を獲得する機会を提供してきた。しかし、学習機会を利用するのかどうかは個人の判断に委ねられ、教師の力量格差を生み出す結果となってしまった。教員の格差を生み出さないために、公教育省は教育方法に重点を置いた教員養成システムへの変更を行ったが、今度は教科専門の知識が十分に獲得されないというジレンマが生まれている。多様な教育機会が補完的に働いているのかについては十分に明らかにすることができなかったので、新年度の課題としたい。 これらの研究と関連することとして、イタリアの学力テストに関する論考を共著本の一節にまとめている。上記の研究成果を活かし、学力テストを公教育の中だけで検討するのではなく、生涯学習社会にどのように位置付けるべきかという論点が必要なことを指摘している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に予定していた研究は、申請者の勤務大学が変わって一年目ということもあり、やや遅れた状況となっている。具体的には、教育方法学会での発表は行ったものの、その成果を論文にまとめることができなかった。また2月ごろに予定していたイタリアの調査旅行も仕事の都合のために実現できなかった。一方で、文献の収集等に関しては、新しい資料の購入は取り寄せの期間が長くやや遅れているが、これまで収集してきた資料を再整理するなどして対応している。それらの資料収集・整理をもとにした基礎文献の読解は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究がやや遅れているため、新年度は一年目にできなかった研究を盛り込んで研究活動を進めていく。まず、6月にイタリアへの調査旅行を行う。次に、7月と8月に学会での発表を行う。7月での学会発表と昨年度の研究成果を合わせて、査読付きの学会誌への投稿を行う。8月の学会発表は、学内誌へ投稿する。その後の期間は、3月末に投稿する論文執筆に当てる。以上のように、学会発表を二回、論文執筆を二回行い、研究の速度を上げていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度の使用額に差が生じたのは、以下の二点が理由である。一点目は、現地調査旅行を行えなかったからである。この点については、再来年度に調査旅行を行う際に使用する予定である。二点目は、取り寄せている洋書が会計の締め切りまでに届かなかったからである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一年目と二年目に予定していたイタリアへの現地調査を二年目と三年目に行うことで対応する。
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Research Products
(3 results)