2017 Fiscal Year Research-status Report
学校組織間における知識移転―ミドルリーダーの人事異動に着目して―
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15K17370
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑中 大路 長崎大学, 教育学部, 准教授 (70734383)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミドルリーダー / 人事異動 / 知識移転 / プロセス / 組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年・昨年度に引き続き、事例対象とする高等学校において「高校文化活動の創造・発展・波及」及び「授業改革の創造・発展・波及」に関する継続調査を行った。また、当該事例に関するキーパーソン(ミドルリーダー)を対象としたインタビュー調査を複数回継続的に実施し、知識移転の実態を描き出した。 対象事例の一つ目である「高校文化活動の創造・発展・波及」については、人事異動や学校間・都道府県間をつなぐ組織(高校文化連盟)の影響を受けながら、新たに生み出された高校文化活動や組織構築のノウハウが継承され、かかる知識が再び他校へと広がる様相を明らかにした。 対象事例の二つ目である「授業改革の創造・発展・波及」については、人事異動により管理職をはじめとする組織構成員が変更する中、改革初期に構築された組織やキーパーソンを中心とし、授業改革が継続する過程を把握した。また、対象校の実態に合わせ、実践が変更・発展する様相や、その実践や知識が他校へと伝播するとともに、学校間をつなぐ新たな組織が構築される様子を記録することができた。 また今年度は、上述した事例調査に加え、ミドルリーダーを対象としたインタビュー調査を多数実施し、事例校を通じて創出しつつある知見の検証に着手した。具体的には、校務分掌組織改革や若手教員育成システムの改善に取り組むミドルリーダーへインタビューを行い、その具体的プロセスや実現要因の記録に取り組んだ。 事例校における教育実践プロセスの記録やミドルリーダーを対象としたインタビュー調査は現在も継続中であり、生成した仮説とその検証、一般化へ向けた分析などを継続して実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事例校の継続調査やインタビュー調査を多数行うことにより、「学校組織間における知識移転」の具体的プロセスの把握はできつつある。しかし、知識移転に関する多角的・継続的なデータ収集が実現し、かつ、その分析へ着手はしているものの、分析結果を論文化・公表するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在入手している調査データ整理及び逐語化を進めるとともに、当該データを再構成及び分析し論文化・公表する。その過程において調査関係者等へ分析結果をフィードバックし、知見のブラッシュアップを図る。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属変更により3年間の調査計画に大きな変更が生じ、インタビューデータの分析が完了していないことが主な理由である。ただし、今年度は申請当初に予定していた以上の調査を実施することができ、今後の分析に資するデータを入手することができた。次年度は当該データの分析を継続して実施するべく、経費の未使用分は、インタビューデータの書き起こしや研究成果の公表に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)