2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17373
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Research Institution | Aichi Konan College |
Principal Investigator |
亀澤 朋恵 愛知江南短期大学, その他部局等, 講師 (60736239)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育史 / 中等教員養成史 / 美術教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「文検図画科」の全体像を明らかにすることを目的とし、制度の開始(1885=明治18年)から終焉(1949年=昭和24)年までの全期間を対象に、次の五つの作業課題を設定した。(1)制度史の解明(2)検定委員の分析(3)試験問題の分析(4)受験者の分析(5)中等図画の実態の解明。 研究計画では研究期間の前半(2年間)は資料収集と整理を主な作業とし、後半(2年間)は課題の分析を中心に行うとした。今年度は主として資料集の作成を中心に作業を遂行した。該当年度の『官報』、「文検」受験専門雑誌(『文検世界』『文検受験生』ほか)など、すでにある程度蓄積された資料の整理を行い、並行して作業課題の分析とあらたな資料の調査も順次遂行中である。 資料集に収録すべき内容は次のように設定した。①「文検図画科」の制度史(試験実施に関する法令、試験日程、受験者統計と合格者氏名の一覧)②「文検図画科」検定委員(検定委員の変遷および経歴一覧検定委員の主要著作・作品一覧)③「文検図画科」試験問題の復元④「文検図画科」受験体験記収録資料一覧とした。現在までに収集した資料においては①の全期間、②については検定委員の変遷に関連する事項のみ、④については全期間を通して一覧化し、③についてはほぼ復元が終了している。 「文検」関連の資料は膨大な量が残されているが、先行研究において一覧表を公表しなかったため、後進の研究者が研究を行う場合にもう一度すべての出典を自身で調査しなければならないという事態が生じている。そのような事態を避けるため、整理された資料集を公表することが肝要な作業であり、一学科目(「図画科」)の実態解明にとどまらず、今後の「文検」の全体像解明に寄与するものであるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はこれまでの研究蓄積を踏まえ、それぞれの作業課題のうち、手元にある関連資料を整理することが中心的な作業であり、作業課題(1)(3)(4)に関連する資料整理についてはほぼ終了している。ただし、より精密な資料集の作成を目指すため、もうしばらく資料の調査・収集を継続したい。 作業課題(2)については、検定委員の著作・作品リストの作成とし、美術関係の雑誌論文などを渉猟する必要があるため、計画当初から時間を要することが見込まれた。現状では年代と委員によって資料の情報量に差があるため、調査を継続したい。作業課題(5)については関連資料の調査・収集に着手しているが、なかには非常に有用と思われるが散逸が激しく、断片的にしか発見できていないものもあるため、(2)と同様に引き続き調査を進めたい。(5)の作業は(3)(4)の分析にも関連するため、重要な作業と考える。これらについては資料の調査とともに整理を継続して行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で設定した五つの作業課題のうち、(1)(2)(4)を研究期間の前半(2年間)に集中して遂行し、(3)(5)については、資料収集は研究開始当初から並行して行いながら研究期間の後半期以降に分析を集中的に行う予定とした。今後は資料収集・整理から順次分析へ作業をシフトしていく。なお、研究計画において平成28年度の作業課題は以下のとおり設定した。 1 昨年度に終了予定であった作業課題を遂行する。 2 前年度からの継続作業である作業課題(2)を遂行する。 基本的には平成27年度からの作業を継続して行う。とくに(2)(5)に関連する資料の調査を継続して資料集の精度を高めるとともに、今後の作業も順次遂行したい。
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